全日本空輸(ANA)は、外部のWebサービスでも、同社のポイント「ANA SKY コイン」がたまる施策を推し進めている。昨年11月26日に、同社としては初となる、外部のWebサービスの利用で直接的にコインを取得できる取り組みを始めた。本施策を皮切りに、取得できる“場”の拡大を狙う。

ANA SKY コインは、10円単位でANAの航空券や旅行商品の割引購入に使えるポイントサービスだ。有効期間が12カ月と、36カ月有効な「マイル」よりも短いものの、特定の商品との交換が原則となるマイルと比較して、使い勝手が良い。マイルを1ポイント単位でコインに交換できる。
ANAはこのコインがたまる仕組みとして、会員サイト「Social Sky Park」を運営している。同サイトは会員登録をして、その時々に出題されるお題に対して、「Twitter」や「Facebook」経由で回答すると、コインがたまる。こうして、飛行機を頻繁に使わないような会員と継続的な接点を作ることで、いざ旅行に行く際には、たまったコインを代金の一部に充当して(10コイン=10円分相当から)、ANAのサービスを利用してもらうことを目的としている。
ただ、コインがたまるのはあくまでANAのサイトの利用者に限られており、「飛行機に乗る頻度が低い人との接点が作りにくい」(マーケティング室ロイヤリティマーケティング部の住吉真沙樹主席部員)という課題を抱えていた。そこで、搭乗頻度が低い消費者との接点を拡大するために、コインを取得できる場を、外部へと広げることを決めた。
アプリの利用でコインが当たる
その第1弾として採用したのが、デジタルマーケティング支援会社のグランドデザイン(東京都渋谷区)が提供する、スマートフォン向けアプリ「Gotcha!mall(ガッチャモール)」だ。同アプリは、出店企業ごとに用意されたアプリ上の小型自動販売機(ガチャ)を毎日決められた回数だけ無料で利用でき、クーポンや商品サンプルなどが当たるもの。約40万件ダウンロードされており、資生堂や富士フイルムなどがマーケティングに活用している。店舗を持つ企業であれば、店舗内で利用した場合に限って、より割引率が高いようなクーポンが当たるといった設定も可能だ。このアプリ上には、出店企業が提供するガチャだけではなく、アプリの提供元であるグランドデザインも複数のガチャを用意している。ANAは当初、専用のガチャを設けず、商品券などが当たるガチャ「Premium Selection」を用い、毎月抽選で5万円相当のコインが65人に当たる形式でまず利用を始めた。ANAがコインを提供したことで、同ガチャの利用率がそれ以前に比べて30%増加するなど、好評を得ているという。
「メーカーや流通など様々な業態の企業が出店しているため、それらの企業のクーポンなどを目的にアプリを利用している人に、コインを知ってもらうきっかけになると考えた」と住吉氏は活用の狙いを語る。
こうして、普段ANAと接点が少ない消費者にもコインを取得できる環境を広げていくことで、コイン利用者のすそ野の拡大を目指す。取り組みを進めながら、KPI(重要業績評価指標)の策定にも取り組んでいく。今後、ANAのサービスの購入拡大を目指し、さらにコインと消費者の接点拡大に向けた取り組みを推進していく方針だ。