本誌読者無料セミナー「デジタルマーケティングの2014年を読む」で、3番目に登場したのがパナソニックのCRM(顧客関係管理)サイト「CLUB Panasonic」を担当する同社コンシューマーマーケティングジャパン本部CRM推進グループ グループマネージャーの中村慎一氏である。「CLUB Panasonic」は今年春、ファンが8万人以上いたFacebookページを閉鎖。LINEに注力するという大胆な戦略を打ち出して注目を集めた。

中村氏によればFacebookページもLINEも、開設目的はCLUB Panasonicの認知向上と会員獲得で同一。しかしFacebookページを開設した時には既にビューティー家電やデジタルAV家電など商品ジャンルのFacebookページが存在。それらとの運用のすみ分けが難しく、パナソニック全体として別のアプローチをするためにLINEの活用に集中する戦略転換をしたという。そして、話を具体的なO2O施策へと移した。
メーカーである同社の場合、O2Oといっても各種イベントなどへの集客がメーンとなる。例えば、東京と大阪で開催した炊飯器の試食イベントはLINEとCLUB Panasonic会員だけに告知したにもかかわらず、5日間で数千人が集まった。「来場した人たちを見てユーザー層が特定できたことが大きい。小学生もいれば高齢者もいて、LINEは幅広い層にリーチできると実感できた」と語った。
「人気ゲームアプリにはプッシュ通知で対抗」
セミナーの最後は、「今時のスマホユーザーの実態とは」と題したパネルディスカッションである。ユナイテッド取締役兼執行役員スマートフォンメディアカンパニー長の手嶋浩己氏、VASILY代表取締役CEO(最高経営責任者)の金山裕樹氏がパネリストとして登場。本誌編集長が司会を務めた。

ユナイテッドはスマホのホーム画面に好きな画像をアイコンとして配置できる着せ替えアプリ「CocoPPa(ココッパ)」を提供している。着せ替え用画像はユーザーが投稿しているが、最近は同社のサービスをブランディングに使いたいという企業が増加。タイアップ施策として企業が用意した画像を提供することもあるという。
VASILYは「iQON(アイコン)」というコーディネート投稿サービスを提供する。様々なECサイトが販売する商品を組み合わせてコーディネート画像を作り、他のユーザーに公開したり、画像をタップしてECサイトから商品を購入したりできる。
CocoPPa、iQONともスマホからの利用が大半だが、LINEやゲームなどの人気アプリと、どう競争するのか。両氏は「プッシュ通知での情報発信が有効」とする一方、メルマガの効果はさらに低下すると予測した。確かに、LINEのようにアドレスが必要ないツールの普及で、メールの利用率が今後さらに低下していく可能性は、大いにありうる。
「スマホの着せ替え市場をグローバルに作っていく」(手嶋氏)。「提携先を拡大しコーディネートメディアとしての地位を確立する」(金山氏)。最後に2014年の抱負をそれぞれが語り、ディスカッションを終えた。
文中の、「商品ページの寄せ集めのようなもの」というところ、「LINEだけで告知した」というところに誤りがありました。本文は修正済みです。[2013/12/27 14:30]