森永製菓は、自社キャラクター「キョロちゃん」の認知度向上と、アンテナショップの売り上げ拡大を狙ったO2O(オンラインtoオフライン)施策を8月頭から実施。同ショップの同月の売り上げが、前月比40%増加になるなどの成果を上げている。得た知見は今後、新たなマーケティング施策にも応用していく。

 「おかしな動画キャンペーン」と名づけたこの施策は、東京都江東区の商業施設「ダイバーシティ東京 プラザ」にあるアンテナショップ「キョロちゃんのおかしなおかし屋さん お台場店」で実施した。その流れは次のようなもの。

スタンプを5つ集めるとアンテナショップで使えるクーポンがもらえる

 まず、店舗の入り口でQRコードを印刷した「おかしな動画カード」を来店者に配る。カードのQRコードを消費者がスマートフォンのカメラ機能で読み取るとキャンペーンサイトが開き、画面上でスタンプが1つ押される。するとキョロちゃんが登場するスペシャル動画が閲覧できるという仕組みだ。

 スタンプは1日1回限定。翌日以降、カードのQRコードを再び読み込むと別の動画が見られ、新たにスタンプが押される。これを繰り返して、スタンプを5つ集めると、アンテナショップでのみ発売しているドリンクの1杯無料クーポンがもらえる。消費者がこれをアンテナショップの店頭で提示すれば、ドリンクと引き換えられるという流れだ。

 来店者に配布したカードをきっかけに同社のキャンペーンサイトを訪れてもらい、再び実店舗へ送客する。「O2O2O(オフラインtoオンラインtoオフライン」とでも呼ぶべきなかなか凝った仕掛けである。

 キャンペーンはは9月一杯続ける予定。2万枚の配布を予定するカードはまだ8000枚しか配り終えていない。そうした事情から最終的なコンバージョン率などはまだ算出できないという。それでも見るべきポイントがある。それはメーカーが設けるアンテナショップをショールームに終わらせないためにも、O2O施策は有効ということである。

買ってもらえるアンテナショップ

 アンテナショップを持つメーカーは少なくない。消費者と直接の接点を持たないメーカーにとって、消費者の顔が見え、その反応が確かめられるアンテナショップを持つ意義は大きい。

 とは言え、大半は自社商品を大量に陳列したショールーム的な位置づけに留まっているのも事実。ショップとは名ばかり。そこでの売り上げを期待しているケースは多いとは言えないだろう。

 森永のショップも多分にショールーム的な要素を持つ施設ではある。だからこそそれを変えようとした。商品を見てもらう店から、買ってもらえる店へ。O2Oはその変革を後押しし、成果が今、出つつある。

 キャンペーン施策を仕掛けた関連事業部イノベーショングループの渡辺啓太氏は言う。

 「すべてがO2Oのおかげとは言えないが、実際に売り上げをアップさせられたのは大きな収穫。この取り組みによって当社への興味関心を高められたので、スーパーなどでの当社商品の販売にもプラスの影響を与えているのではないか」

 O2Oは店舗を持つ小売業、飲食業などの専売特許ではない。工夫次第で可能性の扉は大きく開かれている。

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