バイオ医薬品メーカーの協和発酵キリンは、医療関係者向けWebサイト「kksmile」を6月末にリニューアルし、8月20日にはスマートフォン専用サイトも開設した。

協和発酵キリンの医療関係者向けサイト「kksmile」

 kksmileの対象は医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師ら医療関係者だが、今回のリニューアルで特にターゲットとしたのが薬剤師。同社営業統括部ネットワーク推進グループの福田昌暢グループ長は、「薬剤師の登録者数、アクセス数、問い合わせ件数が伸びていることから、薬剤師にも利用しやすいサイト設計にした」と説明する。

 ポイントは大きく2つ。1つはナビゲーションメニューだ。リニューアル前のkksmileは、ページ上部のナビゲーションメニューが「製品情報」「がん・血液」「腎」「アレルギー」「中枢神経」「消化器」…と医療領域の名称を横一列に並べたもので、各領域の専門医を意識したつくりになっていた。今回これを、「製品情報」「領域」「文献・学会」「患者さん向け情報」「薬剤師の方へ」「診療サポート」に改め、各専門分野は「領域」下のプルダウンメニューに収めた。

 それまで「おすすめコンテンツ」コーナーなどに点在していた主に薬剤師を対象とした学び系コンテンツ、たとえば「薬物動態学10の鉄則」「添付文書の読み方10の鉄則」「お薬立ち検定」「はじめての在宅医療」などを、「薬剤師の方へ」のメニュー下に集約。また「製品情報」下の各医薬品の説明ページに付随しているQ&Aとは別に、薬剤師からよく寄せられる問い合わせ内容をまとめた「よくある医薬品Q&A」も新設した。Webで自己解決できるよう、FAQ(よくある質問)の更新に努めている。

スマホ対応で“調べもの”ニーズに応える

 ポイントの2つ目は、「製品情報」のスマホ対応。例えばお薬手帳に記されている過去に処方した医薬品との相性や、特定疾患を持つ人への注意事項などは、「薬剤師が薬局で処方の際にアクセスして調べている様子がうかがえる。だがスペースの都合上、パソコンを置きにくい店舗も多い」(福田氏)。そうした現場ニーズから、医薬品情報のコーナーを先行してスマホ対応させ、“調べもの”にスムーズに応える体制を整えた。

 国が後発医薬品の利用を促すため、処方箋に医薬品名ではなく成分名を記す「一般名処方」が導入され、2012年4月に調剤報酬が改定されて以降、一般名の記入比率が増えている。半面、製品名と成分名を混同した誤処方が未遂も含め起きているようだ。一般名処方が進むほど、薬剤師の確認ニーズは高まっていくとみられる。そこで薬剤師の期待に応える情報提供をして安心感を与えられれば、一般名処方に対して競合他社ではなく同社の医薬品を選択する可能性が高まるだろう。

 専門領域を掘り下げた情報を求める医師と、あらゆる診療科の医薬品を扱う薬局の薬剤師とでは、同じ医療関係者といっても情報ニーズは異なる。それぞれの使い勝手を損ねないような構成はどうあるべきか。専門サイトを分けて開設することも含めて定期的に改修していくことになりそうだ。

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