6月28日、とあるEC(電子商取引)サイトの開設1周年パーティーが東京・渋谷で開かれた。取引先ら約200人が駆けつけた会場で挨拶に立ったのは、元伊勢丹の名物バイヤー藤巻幸大氏。「日本のモノ作りを結集した日本の百貨店を作りたい」という志からプロデュースした「藤巻百貨店」は昨年5月のオープン以来、集客が好調に推移している。

「顔」として藤巻氏も頻繁に登場。リンク先のECサイトでは商品選定エピソードでユーザーをひきつける

 集客に大きな役割を果たしているのがFacebookページだ。ファン数は7月12日に15万人に到達した。藤巻氏自らセレクトした逸品を取りそろえているだけあって、商品構成も価格帯も決して大衆向けではない。それでも既にホンダやイオンを追い越し、ソーシャルメディア活用で定評のある日本サブウェイ(15万4000人)、東急ハンズ(18万4000人)が射程に入ってきた。

 運営責任者のザッパラス中村亮取締役は、「40~50代が中心で男性6割という顧客層にFacebookは効果的にリーチできる。投稿1回当たりのEC来訪者は1000人を下らない」と言う。

藤巻氏の視点でこだわりを伝える

 成功の秘訣は次の3点に集約される。1つは写真のこだわり。「たくさんの友だちや企業ページのメッセージが流れるタイムライン上でスクロールする手を止めてもらうために、写真は非常に重要な要素」(中村氏)。例えばバッグの場合、手提げ、肩掛け、斜め掛けなどシーン別の活用を見せる。経年変化が楽しめる皮革製品の場合は、新品と使い込んだ商品を重ねて撮影し、その味わいを伝える。定番商品を繰り返し紹介する際は、前回の写真を使い回しせず撮り下ろして反響の違いを確認する。ECへの流入に直結するだけに写真へのこだわりは相当だ。

 2つ目は各商品が持つストーリーを語ること。ECサイト上で、なぜ藤巻氏の目に留まったのかを出会いの経緯や職人との対談などを交えて綴っている。ハンドメイドで作り上げている舞台裏を紹介した商品には「生産頑張ってー」といった応援や「これ愛用してます」といったFacebookコメントが付き、購入意欲を後押しする。

 3つ目は藤巻氏が前面に出ること。実際、商品選定や運営に深く関わっているため、“名前貸し”と誤解されないよう、自らモデルとしてしばしば登場する。藤巻百貨店のロゴはあるものの、Facebookページのアイコンも藤巻氏の顔だ。きれいな商品写真を載せたECサイトはあまたある。そこにユーザーを突き動かす思い入れやこだわりをどれだけ上乗せできるか。藤巻百貨店から学ぶことは多い。