※「日本コカ・コーラ、買い集めたくなるイヤーボトルで日販10%増も 【特集】買う気にさせる“新五感”(中編)」の続きです。

 4つ目は「共感」。これは想像しやすいだろう。別名「いいね!」消費と言ってもいい。ソーシャルメディア上の友人が「この本は面白かった」と感想をつづっていたため同じ本を買ったという経験はソーシャル利用者の多くがしているはずだ。

 野村総合研究所は、ソーシャルメディアによって誘発される「共感型」の消費を4分類し、市場規模を算出した。この中で、消費規模としては4600億円で3位だが、2011年からの増加額はトップの1200億円、率にして35%増と伸び盛りなのが「ネタ消費」。ソーシャル上に写真つきで投稿して、「いいね!」「何これ?」「ビックリ」といった反響を得たいがための消費だ。

ソーシャルメディアで誘発される「共感消費」の4分類では「ネタ消費」が最も伸びた

 具体的にはどんな商品か。例を二つ挙げておこう。一つは2011年11月にファミリーマートが販売した「スライム肉まん」。「ドラゴンクエスト」の人気キャラクター「スライム」をかたどった青い肉まんだ。これは筆者も購入・撮影して、Facebookに投稿した。青は食欲減退色と言われるだけに、写真を見た人は「カワイイ」「うまそうには見えない」など何か一言突っ込みを入れたくなる話題性を持った商品だ。

 もう一つは、キリンビールの「一番搾り フローズン<生>」。シャリシャリとした氷点下5度の泡が「新食感」として話題を集め、アサヒビールとハイネケンが「エクストラコールド」でけん引してきた超冷却ビール市場に旋風を巻き起こした。

 ソーシャルメディアマーケティング支援のトライバルメディアハウス(東京都港区)の池田紀行社長が説明する。

 「味もさることながら、ソフトクリームのような形状の泡がのっかっている、それ自体がユニークで、『撮影してみんなに見せたい』という、人に伝えたくなる商品特性を兼ね備えていたのが勝因でしょう」

 こうして昨夏の夜はソーシャルメディア上にフローズン<生>の写真投稿が相次ぎ、「私も飲んでみたい」と玉突き消費を引き起こす好循環が起こった。コクとキレだけでなく、ネタになるかが売れ行きを左右するのがソーシャルメディア時代なのだ。

【限定感】今だけ、ここだけ、あなただけ、「増税前に」もキラーフレーズ

 最後に「限定感」。これも分かりやすい。買うか買わないかボーダーライン上のレベルの商品でも、数量や販売期間の限定という制約が加わると、一転して購入意欲が湧いてくる。

 このほか「ポッキー&プリッツ」や「じゃがりこ」「ハローキティ」などには観光地ごとにご当地商品がある。地域限定という縛りで希少性を演出し、コレクション意欲=達成感をも誘発している。年間100万円以上購入の大口顧客にポイント率が高くなるプラチナカードを付与したり、特別セールに招待したりするのも、優越感をくすぐる限定商法と言えるだろう。

 かように「今だけ」「ここだけ」「あなただけ」というメッセージは、“売り文句”と理解していても、入手できなくなるリスクに考えが及ぶために購買意欲を刺激する。今後は「増税前に」という言葉が、特に高額商品においてキラーフレーズとなるだろう。

 以上、消費者の購入意欲をかきたてる「五感」を事例とともに見てきた。自社商品と組み合わせることで威力を発揮するパターンがきっとあるはずだ。ではいつやるか? 今でしょ!

前編 ベネッセ、育児メルマガへの「感謝」が乳児向け講座契約増に
中編 日本コカ・コーラ、買い集めたくなるイヤーボトルで日販10%増も
後編 キリンビール、フローズン<生>のカワイイ泡が誘引したいいね!消費