化粧品製造販売のドクターシーラボは3月15日、スマートフォン向けのバーコード読み取りアプリ「アイコニット」を活用したマーケティング施策を始める。同アプリはソフト開発会社のメディアシークが開発しており、クーポン取得やキャンペーン応募のQRコード読み取りなどに月間300万人以上が利用しているという。ドクターシーラボは同アプリを活用して、スマートフォン経由のサイトや店頭への集客、売り上げ向上などの可能性を探る。

 「ネット通販事業に対する期待が大きく高まっています」

 ドクターシーラボのマーケティング部eコマースグループの西井敏恭グループ長はこう明かす。

 同社の2012年度第2四半期(2012年8月~2013年1月)の売上高は前年同期比で8.8%減の166億4100万円となり、営業利益は24.0%減の38億2300万円と苦戦を強いられている。一方、EC(電子商取引)経由の売り上げは、2012年8~10月期に通販事業全体に占める割合で4割を超えるなど堅調だ。EC事業のさらなる強化のために、急伸するスマートフォン経由の売り上げをさらに加速させるのがeコマースグループの課題となっている。

 その策の1つがアイコニットの活用だ。西井氏は採用の狙いをコストを抑えながらの検証にあると説明する。

 「今から自社でスマートフォン向けアプリを開発するのは費用もかかるし、ダウンロードしてもらうことが大きなハードルになる。どういった施策がサイトへの流入につながるのか。(アプリ利用者のホーム画面に情報通知できる)プッシュ通知は効果的なのかどうかを、アイコニットのようなアプリを活用することで、コストを抑えながら測定する」

バーコード読み取りアプリ「アイコニット」上に開設したドクターシーラボの情報ページ

 まず、主力スキンケア商品「アクアコラーゲンゲル」シリーズのうち2商品でアイコニット対応を始める。消費者が対応商品のバーコードや、紙のチラシなどに掲載されているQRコードをアイコニットで読み取ると、アプリ上で商品の正しい使い方を伝える動画を再生し、商品説明や商品に対するクチコミ、購入などへの導動があるページをアイコニット上に表示する。アプリ利用者への告知などによって、商品バーコードの読み取りを促す。

 ドクターシーラボは継続的な情報提供窓口としての役割もアイコニットに期待する。消費者が同社のQRコードを読み取ると、アイコニットの「アイコン帳」のページに同社のアイコンが表示される。アイコンをタップすると、ドクターシーラボの情報ページへ移動する。

 メディアシークはこのアイコン帳を利用者と企業をつなぐ場とするために、様々な企業にアイコニットを通じた情報提供を呼びかけている。企業向けにはアイコンの利用者数、アプリ上のページから自社サイトに誘導した人数、プッシュされた情報を閲覧した人数などが把握できる分析機能も提供する。企業の利用料金は従量課金制で、月額1000円のシステム利用料のほか、アイコン登録者1人当り月額1円からとなる。

店舗集客の可能性にも期待

 「今回は使い方説明の動画にすぎないが、より顧客に関心を持ってもらえるコンテンツを提供できれば、そのコンテンツを見るために店頭を訪れてバーコードを読み取ってもらえる可能性もあるのではないか」

 西井氏はそんな仮説の下、アイコニットを活用したO2O(オンラインtoオフライン)施策にも取り組んでいく考えだ。

 アイコニットは300万件以上ダウンロードされているほか、KDDIが昨年の秋冬モデルから9機種に搭載したことで利用者が増えている。月間の利用者数は300万人超で、平均利用回数は月2.6回。

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