リコーの国内販売会社であるリコージャパン(東京都中央区)は、リコー製機器の企業ユーザー向けオンラインショッピングサイト「NetRICOH」を1月27日にリニューアルした。

NetRICOHは、機器のトナーや用紙をはじめとするオフィス用品約8万点を取りそろえ、現在47万会員が登録している。会員が固有のIDでログインすると、担当営業の顔写真が表示され、そこからオンラインフォームで質問や見積もり依頼などの連絡が簡単に取れる。また、導入機器に対応したトナーが「消耗品クイックオーダー」欄に登録済みの状態で、取引実績に応じた価格で調達できるなど、「顧客ごとにカスタマイズされた画面になっているのが特徴」とNetRICOH推進室室長の南雲敏明氏は説明する
オフィスサプライ通販業界は、プラスグループの「アスクル」、コクヨグループの「カウネット」、大塚商会の「たのめーる」などがしのぎを削る激戦区。NetRICOHの特徴は、その会員になれば、分厚い文具カタログから機器に適合する型番を探し出す必要がないことだ。
サイト上で“顔の見えるサービス”という安心感を演出し、トナーや用紙のほかオフィス用品までワンストップで決済できることを利点として、品ぞろえの強化に努めてきた。その利便性に企業ユーザーが慣れ親しむことで、オフィス機器のリプレースの際も引き続きリコー製品を契約する――。そんなCRM(顧客関係管理)的な色彩の強い、よく考えられたEC(電子商取引)サイトと言っていいだろう。
NetRICOHにも弱点があった。企業ユーザーを対象に調査をしたところ、使い勝手が悪いという声が少なからずあったという。刷新前のサイトは、目立つ位置に担当者の顔写真があり、レイアウトやナビゲーションの面でもショッピングサイトらしさに欠けていた。日頃、Amazon.co.jpや楽天市場での買い物に慣れた人にとって、これが不満だった。また、EC内検索でヒット件数がゼロになることがたびたびあり、ユーザー離れを招いていた。
デザイン、検索、レコメンドを改善
そこで同社は3つの改善に取り組んだ。1つ目は画面デザインの刷新。オンラインショッピングサイトとしての直感的な操作が可能なように、ナビゲーションやレイアウト、商品ジャンルの見せ方などを一新した。担当営業の顔写真は、スクロールなしで見える右サイド中段に移動し、CRM機能を阻害しない範囲でショッピングサイトの体裁を優先させた。
2つ目は、検索機能の強化。ECサイト内検索ASP「probo EC」を導入し、同時検索ワードのサジェスト機能や急上昇キーワードを検索窓の下に配置したことで、ゼロ件ヒットを大幅に減らした。そして3つ目がレコメンド機能の導入だ。シルバーエッグ・テクノロジー(大阪府吹田市)のレコメンドサービス「アイジェント・レコメンダー」を導入し、サイト訪問者の過去およびリアルタイムの行動履歴から購入可能性の高い商品を提示できるようにした。トップ画面中央に、レコメンド枠を設けて、“ついで買い”を促進する狙いだ。
刷新効果は早々に現れている。特にレコメンド枠が威力を発揮しており、「商品をクリックしたユーザーの4人に1人が購入している」(NetRICOH推進室Web企画グループリーダーの豊田潤一氏)など高いコンバージョン率(CVR)をたたき出している。
記事掲載当初、導入した検索サービスを「オープンソース」と記載していましたが、検索ASPの誤りでした。本文は修正済みです。[2013/03/06 18:45]