複合機などオフィス機器大手の富士ゼロックスは、自社およびグループ会社のサイトを昨年12月末までに一斉にリニューアルした。対象は、同社本体のほか全国31の販社と6地域の統括会社、8つの関連会社の国内46サイトと、海外21の販社と生産関連会社3社の計70サイトと多岐にわたる。

 2011年秋に米ゼロックスがWebサイトのデザインをリニューアルしたことが刷新のきっかけだ。(1)ワールドワイドでのプレゼンスの向上、(2)ソリューション&サービス提供企業としてのイメージ獲得、(3)アジア地域、特に中国市場におけるブランド認知向上という3つの課題の解決に向けてサイト刷新の号令がかかり、同社が管轄するアジア・オセアニア地域の関連会社のサイト刷新も担うことになった。

BtoB企業もスマホ対応が急務に

 主な変更点は大きく2つ。1つはナビゲーションバー周り。サイト幅を740ピクセルから940ピクセルに横長に拡大し、「ソリューション」「商品情報」「サポート」「ダウンロード」「企業情報」という大カテゴリーのナビゲーションバーを青色で統一した。そして例えばユーザーが商品情報にマウスをロールオーバーすると、「カラー複合機」「シュレッダー」といった商品ジャンルが書かれたフローティングメニューが現れるため、トップページからワンクリックで個別商品の概要ページまでたどり着き、スムーズに希望の情報を入手しやすくなった。

 もう1つは「レスポンシブウェブデザイン」の実装。パソコン、スマートフォン、タブレット端末とユーザー側の利用端末に応じてコンテンツを最適に表示する仕組みだ。国内外の企業で導入が進みつつある注目の手法ではあるが、BtoB企業である富士ゼロックスが率先して採用したのはなぜか?

 リニューアルを担当した同社ソリューション・サービス運用本部ワンストップ・サービス部FXダイレクト推進部の水上貴一朗氏は、「弊社のサイト利用者は、弊社の製品ユーザーが8割近くを占め、またスマホからのアクセスは、一昨年は2%程度だったが、昨年2月は4%、直近では8%と倍々ペースで急増している」と説明する。

レスポンシブウェブデザインを採用した富士ゼロックス

 さすがに1台100万円以上もするような複合機の購入をスマホで比較検討する企業ユーザーはめったにいないが、紙詰まりや出力の不具合といったトラブルの対処方法などは、スマホやタブレットから見ているケースがあるという。

 職場で印刷ができない事態に遭遇した場合、パソコンで対処方法を見つけてもそのページを印刷できない。スマホやタブレットなら複合機の前まで持ち歩いて参照しながらトラブル対処が可能だ。この傾向は同社だけに限ったことではない。BtoB製品を扱う企業でも、マルチデバイス対応が求められることになりそうだ。

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