昨年6月にローソン、コカ・コーラ、すき家の3つのブランドから始まったLINEの企業公式アカウント。この2月5日にNTTドコモとドクターシーラボが加わり、現在その数は29ブランドに上る(テレビ番組やアーティストを除く)。

 1月18日にはLINEの登録ユーザー数が全世界で1億人を超え、日本国内のユーザー数は4100万人に上るという。ちなみに企業公式アカウントで一番「友だち」数が多いのはローソンで、620万人を超える。LINEユーザーのざっと7人に1人が登録している計算だ。200万人以上の友だちを獲得している12ブランドの友だち数を合計すると、それだけで延べ約4050万人に達し、国内ユーザー数に匹敵する。そして全29ブランドの友だち数合計は同5500万人を超える。

 では、LINEユーザーはいくつの企業アカウントに友だち登録しているのか? やや古いデータになるが、ジャストシステムが昨年9月にLINEユーザーを対象に実施した調査では、企業アカウントを友だち登録しているLINEユーザーは19.9%にとどまっている。仮に現在もこの比率が変わっていないとすれば、約900万人が平均6ブランドを登録している計算になる。であるとすれば、企業のLINE担当者としては他社の投稿となるべくバッティングしないよう、配信の曜日や頻度、時間帯といったタイミングを検討する必要が出てくる。

 そこで本誌は、2月3日時点で友だち登録が200万人を超えていた12ブランドを対象に、配信の曜日を調べてみた。対象期間は、2012年10月1日(月曜)から2013年2月3日(日曜)までの4カ月(18週)間。

企業は金曜日の配信がお好き

 その結果、最も配信が多い曜日は金曜だった。12ブランドが4カ月間で発信した計116本の投稿のうち、金曜だけで46本、実に40%を占める。期間中、最多の18本を投稿したすき家が毎週金曜を投稿日にしている影響が大きいが、すき家の18本を差し引いたとしても、なお金曜は曜日別でダントツのトップである。

主要なLINE企業アカウントの投稿曜日
主要なLINE企業アカウントの投稿曜日
※調査期間は2012年10月1日(月)から2013年2月3日(日)までの4カ月(18週)間 。友だち数は2013年2月8日時点

 LINEアカウント開設企業に多い店舗型ビジネスは、たいてい週末が稼ぎ時。そこに合わせてセールやキャンペーンを実施するため、金曜の告知が多くなるのは当然だろう。ただ金曜は、このように激戦区であるため、なんとなく惰性で金曜に送り続けているのであれば、金曜に送る必然性があるものとないものを峻別していく必要があるだろう。

 逆に“穴場”は水曜と木曜。土曜と日曜を除けば、調査期間中の各企業合計でも木曜が11本で曜日別で最小、それに次いで少ないのが水曜の13本だった。単純に他社との重複回避という視点からは木曜配信、そして水曜配信も一考に値するかもしれない。ちなみに「資生堂ワタシプラス」と「東京ディズニーリゾート」は、月曜から金曜まで平日すべてで配信実績があった。

 また、金曜に次いで投稿が多かったのは月曜と火曜がそれぞれ19本。ただし調査対象の18週間のうち、月曜は3回が休日だった(10月8日の体育の日、12月24日の天皇誕生日の振り替え休日、1月14日の成人の日)。平日に比べると土曜と日曜の配信は少ないことから、祝日も配信の動機づけは低いと考えられる。祝日が3週ありながら金曜に次ぐ順位だった月曜日は、週始めに投稿する企業が多い激戦区であると考えてよさそうだ。

 なお期間中のブランド別投稿本数をみると、多い順にすき家18本、資生堂17本、ケンタッキーフライドチキン13本、東京ディズニーリゾート11本、コカ・コーラ10本、ファミリーマートとエイチ・アイ・エスが各9本、と続く。一番少ないのが、最多の友だち数を持つローソンで4本だった。最大でも週1ペース、ローソンに至っては月1ペースである。

 従って、ローソンのFacebookページのファン数が約40万人でLINEの友だち数が620万人であるからといって、単純に「LINEの方が15倍威力がある」といった話にはなりようがない。ちなみにローソンのFacebookページは1日1~2本、1月は38本の投稿があった。コミュニケーション量を「登録人数×投稿本数」とすれば、1月のローソンはLINE620万、Facebook1520万となる。

 LINEの場合、ファンの「いいね!」やシェアで未登録者の目に触れることもない。その意味で、LINEはSNS機能は搭載されたものの、企業アカウント運用側からみるとレスポンス率の高い割引クーポン配信メルマガであり、料金体系の影響もあって単純な挨拶のようなコミュニケーションには向かない、SNS的要素が薄いメディアと言えよう。

 「LINEとFacebook、どちらが優っているか」ではなく、役割の違いを理解した上で効果を最大化できる投稿タイミングを見計らっていく必要があるだろう。

この記事をいいね!する