自社サイトを拠点にテレビCMとスマートフォン向けアプリをつなぎ、旅行の認知から予約、旅先での情報提供までをトータルでサポートする。西日本旅客鉄道(JR西日本)は1月15日に、そんな施策を始めた。「これまでは、旅先においては何もサービスを提供できていなかった」(鉄道本部営業本部(宣伝クロスメディア)の尾崎真由子主査)という現状の打破が狙いだ。

 テレビCMで訴求するのは京都旅行だ。「京の冬の旅」と銘打ったキャンペーンの一環として、1月15日から2月10日まで、九州や中国地方を対象にテレビCMを放映する。ただこのCMはあくまで「京都に行きたいという気持ちを生み出す」役割に過ぎないと、同社の鉄道本部営業本部(宣伝クロスメディア)の小菅謙一課長は言う。

 予約というコンバージョンにつなげるのは、自社サイトの役目だ。テレビCMの最後に「三都Webで検索」と告知して、自社で運営する観光情報サイト「三都物語Web」に呼び込む。このサイトでは、テレビCMに登場する観光名所の詳細な情報や、和菓子作りの体験サービスなどを紹介するキャンペーンページを用意した。ここで、CMという短い時間では伝えきれない魅力を十分に伝えて、旅行意欲を高める。

 と、ここまでは今までも実施できていた。今回の施策では、ここから地域情報サービス「マイ・フェイバリット関西」(マイフェバ)につなぐことで、旅先でのサポートをする。マイフェバはJR西日本が運営する地域情報サービスだ。このサービスのスマートフォン向けアプリも提供されており、このアプリ利用者は、近くの店舗を探したり、そこで発行されるクーポンを取得したりできるのが特徴だ。

テレビCMからアプリまでをつなぐ誘導導線

 また、パソコン版のマイフェバで気になる店舗をお気に入りに登録してもらい、現地ではアプリを使い登録済みリストから店舗の場所を調べて来店してもらう。テレビCMとの連携企画では、この機能を活用する。自社サイトに開設したキャンペーンページから、マイフェバの特集ページへと誘導する。特集ページでは、テレビCMに登場する観光名所などの一覧を表示し、観光名所などをマイフェバのお気に入りに登録できるボタンを設置した。

 利用者は、京都に行く前にこのページから、気になる観光名所をマイフェバに登録しておけば、旅先でマイフェバのスマートフォン向けアプリを使って、目的地の場所を確認することができる。観光名所の詳細な情報も登録されているため、パンフレット代わりにもなる。こうして、旅のしおりとしてマイフェバを利用することで、旅行を楽しんでもらう。

 JR西日本では、デジタルとマスメディアの融合をさらに進めていく方針だ。進めやすくなった一因として、昨年から小菅氏がテレビCMからデジタルマーケティングまで、すべての宣伝を統括して見る立場になったことが挙げられる。「オンラインとオフラインの施策を立体的に結びつけることで、単独企画より大きな成果が期待できる」と小菅氏。今後は、紙メディアや交通広告とデジタルといった連携にも取り組んでいく考えだ。