マンダムは、4月にも整髪剤「GATSBY ムービングラバー」の海外通販を本格化させる。販売のプラットフォームには「Amazon.com」、販売促進には米グーグルのアドネットワークを活用する。
マンダムは、昨年9月にAmazon.com上に公式通販ページを開設して、米国で通販事業を始めた。きっかけは、動画共有サイト「YouTube」で、GATSBY ムービングラバーの特徴であるカラフルなパッケージなどが評判となったこと。マンダムに米国法人はなく、大手小売店で商品は販売していない。にもかかわらず、一般消費者による同商品を使った髪のスタイリング動画が数多く投稿され、中には再生回数が数百万回に上る動画も登場した。
こうしたから状況から、将来の通販事業も視野に入れつつ、まずはFacebookページを開設して消費者と対話することから始めた。ソーシャルメディアを通じた消費者への情報発信でブランド認知の向上を目指す傍ら、自社でEC(電子商取引)サイトを開設すべきか、他社のプラットフォーム上で販売すべきかの検討を進めた。

Amazon.comを採用する決め手となったのは配送コストだった。「自社でECサイトを立ち上げた場合の費用のシミュレーションなどもしてみたが、Amazon.comを活用することが最も配送コストを安く抑えられた」と、マンダムのEビジネス準備室の八田学室長は振り返る。また、米国の消費者がよく利用するAmazon.comなら、クレジットカード情報なども既に登録している人も多く、マンダムのECサイトに新規で会員登録してもらうより購入のハードルは低い。そう判断した。
次に販促策に取り組んだ。マンダムは昨年11月に、消費者に気軽に商品を試してもらうため、小型のGATSBY ムービングラバー4つをセットにした米国限定のトライアルキットの販売も始めた。ほぼ同時に、グーグルと協力して、同社のアドネットワークや「YouTube」への広告サービスを活用した販促に取り組んでいる。
米国で販促に効果的と思われる広告プランをグーグルから提示してもらい、マンダム側で広告クリエーティブを制作する。例えばYouTubeなどでは、「Hair Styling」などで検索した場合に、自社で投稿したスタイリング動画を見せたり、消費者が投稿したスタイリング動画の再生中に広告を掲載したりしている。この広告からランディングページに誘導し、そのページからAmazon.comの公式通販ページに誘導する。公式通販ページへの誘導数をコンバージョンと設定して広告効果を分析し、広告掲載先やキーワードなどの予算配分を最適化している。
次なるターゲットは欧州
こうした経験から、Amazon.comのサポートメニューや販売レポートの分析方法、そしてグーグルの広告の運用法などの知見がたまりつつある。「Amazon.comなら、米国と同様の方法で他の国への展開ができる。グーグルも、対象地域を変えればすぐにでも広告配信ができる」と八田氏は言う。次なる進出先として、YouTubeの動画が人気を集めている欧州での販売に照準を合わせる。
4月には、八田氏が所属するEビジネス準備室の名称から「準備」が取れるという。いよいよマンダムがグローバルを舞台に、本格的なEビジネス展開の時期に入った。