「○○さんが軽井沢・プリンスショッピングプラザにチェックインしました」「Facebookでスタンプラリーキャンペーン」――。
JR軽井沢駅の南口側に広がるアウトレットモール「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」を運営する西武プロパティーズ(埼玉県所沢市)は、11月15日から2週間、同施設でスマートフォンおよびFacebook利用者を対象に「お店でタッチ! Facebookでスタンプラリー」キャンペーンを実施した。

参加希望者は施設内のインフォメーションカウンターでICタグ内蔵のリストバンドを受け取り、専用アプリをダウンロードしてFacebookアカウント情報とICタグをひも付ける。登録後にリストバンドを、非接触通信の国際規格「NFC」搭載端末にかざすと、冒頭のチェックイン情報が自身のFacebookに投稿される。さらに、同端末を設置した施設内の対象22店舗を巡回してリストバンドをかざすと、スマホ画面上に表示されるスタンプシートにスタンプがたまっていく仕組みだ。
スタンプを集めた参加者は、軽井沢プリンスホテルの宿泊券やお買い物券などが当たる抽選権を得られる。スタンプ6個(6店舗)で1回、15個で2回、全22個で3回、くじを回せる。一部店舗では、レジでリストバンドを見せると一部の商品が割引になったり、コーヒー1杯が無料になったりする特典もあった。
スタンプラリーには800人弱が参加
このキャンペーンの狙いは大きく3つある。1つは、チェックイン情報の表示による告知・宣伝効果。この施設では11月22日~26日が、年間最大規模のセール「プラチナ・バーゲン」開催期間で、「来場客の友だち」への波及に期待した。その意味ではO2O(オンラインtoオフライン)プロモーションと言える。2つ目は、施設内回遊の向上と、それに伴う客単価のアップ。3つ目は、参加者の属性と巡回店舗の情報を取得して、リアルの行動履歴の分析に生かすことだ。
例年に比べて冷え込みが厳しい11月下旬だったが、プラチナ・バーゲン開催5日間で約9万人、スタンプラリー開催2週間で約15万人が来場した。スタンプラリーには800人弱が参加し、1人当たり獲得スタンプ数(巡回店舗数)は13.4個。この施設はイーストとウエストにエリアが分かれているが、スタンプはあまり特定個所に偏ることなく、施設全体で回遊している様子が伺えたという。また抽選時にアプリ上で本日の買い物金額を自己申告してもらったところ、スタンプラリー参加者の売上単価は、非参加者より約30%多いという成果も得られた。
今後、参加者の属性と巡回店舗の分析をさらに進めて、同社が西武鉄道沿線で展開する「ペペ」などの商業施設も含めて、施設内動線の見直しや、効果的な販促メールの配信に利用していきたい考えだ。
同キャンペーンでは、ソーシャルメディアとICタグを利用した凸版印刷提供のO2Oプロモーションシステム「LinkPlace」を採用した。既に写真展などで気に入った作品の横に設置された端末にICタグ内蔵バンドをかざして、来場中である旨をソーシャルメディア上に投稿する取り組み事例がある。
形式は異なるものの、競合する大日本印刷もO2Oソリューションとして、エリア限定で電子コンテンツを配信する「チェックインマガジン」を提供。12月1日に味の素スタジアムで行われたJリーグのFC東京の試合で、専用アプリをダウンロードした観客に選手情報やダイジェスト映像、スタジアム内店舗のクーポンなどを配信する実験をした。こちらもほかに大阪国際(伊丹)空港のANAラウンジ利用者向けコンテンツ配信などで実績がある。
O2Oというと、クーポンをまいて集客・成約向上を図ることに目が向きがちだが、滞在時間の楽しみや体験価値の向上、充実に力を入れるアプローチも、客単価の向上やリピート促進をもたらす重要な要素になりそうだ。