「クーポン販促を展開する企業にLINEは合ってますね」。コンタクトレンズ販売チェーン「アイシティ」を展開するHOYAのアイケア事業部経営戦略部マーケティング課担当マネジャーの山本太基氏はそう語る。
アイシティは10月9日にLINE公式アカウントを開設し、友だち数は11月13日時点で29万人を突破。「開設3カ月で30万人が目標だった」(山本氏)ことから、大幅に前倒しで到達する。
アイシティは全国に198店舗を展開する業界トップチェーン。だが装用者の中心層が10代後半から30代で既に減少に向かっている。格安眼鏡チェーン店の台頭や、視力矯正手術の普及も業界にはマイナス要因だ。ネット専業のEC(電子商取引)も勢力を伸ばし、安売りに拍車がかかっている。決して安穏としていられる環境ではない。
価格以外のメリットを訴求
リアル店舗を持つ最大手のアイシティとしては、使い捨てレンズが合わなかった場合に交換や返品が可能な安心感など、価格以外のメリットも訴求して新規客をつかみ、リピーターにしていくことが課題だ。そこでデジタルマーケティングには注力している。新規客向けにはSEO(検索エンジン最適化)と検索連動型広告。「コンタクト(レンズ)」はもちろん、店舗がある地域名との組み合わせや主要商品名で上位に表示されるよう対策している。そして店舗でのスムーズな購入のためネット会員サービスへの登録を促し仮会員証番号を発行。これを新規客が店頭で提示すると、初回割引価格で購入できる。
既存顧客にはメルマガだ。ネット会員向けに月2回定期配信するほか、購入1週間後に不具合がないか尋ねるメールを、また購入内容に合わせて次回の来店を促すメールを送る。例えば6枚入りの2週間連続装用コンタクト購入者には、3カ月後にリマインドメールを送るといった具合だ。ネット会員ページにログインすれば過去の注文履歴や購入店舗が閲覧でき、同じ商品ならばECで追加注文も可能になる。

またネット会員向けスマホアプリでは、コンタクトの交換日・次回購入日のアラート機能のほか、「クーポンモンスター」を育てるとクーポンがもらえるゲームコンテンツも導入。現在、ネット会員は230万人に上る。
LINEはまだ開始して間もないが、第1回のクーポン配信は、「自社メルマガ並みの来店効果があった」(山本氏)という。LINEの公式アカウント開設は高額ではあるが、同額を他のネット広告にまわしても同等のコンバージョンには到底及ばない。山本氏は「スタンプにも取り組んでみたい」と興味を示す。LINEとクーポンの相性がいいのは確かなようだ。