エスエス製薬マーケティング本部ケアブランド・カテゴリーの浦嶋紀久子ブランド・マネージャー

 スマートフォンアプリの活用は、マーケティングの大きな課題となっている。「スマートフォンアプリなどデジタルでの取り組みは、お客様とのコミュニケーションの中で大きな役割を果たしています」と話すのはエスエス製薬マーケティング本部ケアブランド・カテゴリーの浦嶋紀久子ブランド・マネージャー。浦嶋氏は10月10日、日経BP社が主催した「モバイル&ソーシャル EXPO 2012」で、睡眠改善薬「ドリエル」のプロモーションの一環として提供する睡眠記録アプリ「ぐっすり~ニャ」の取り組みの背景と成果を紹介した。

睡眠に対する意識を変える

 エスエス製薬は2003年、日本で初めてドラッグストア・薬局・薬店で購入できる睡眠改善薬としてドリエルを発売。2007年に競合製品が発売されるまでは市場を独占していた。しかし、その後は市場全体の縮小が続いた。

 そこで、新規顧客の獲得が重要な課題と考えた同社は、睡眠の悩みを持っているのに今のままでよいと思っている人、よい睡眠への対処をしてない人、睡眠改善薬を服用していない人といった層が潜在顧客となると分析し、睡眠に対する意識を変えることが重要であると考えた。

 その対策として同社は、第三者機関の睡眠改善委員会と共同で、不眠症と単なる寝不足の間に位置するような“かくれ不眠”をキーワードに戦略的PRを展開。睡眠の問題を“自分ゴト”化させて、対処のアクションへと導くことを狙った。その上で、薬局で買える睡眠改善薬が一時的な不眠に有効であることを伝える広告プロモーションを、猫のキャラクター「レオニャルド・フミンチ」を使って展開した。

 睡眠改善委員会の学会発表や、かくれ不眠情報のニュースリリースなどで媒体露出を狙ったほか、交通広告や新聞広告を展開し、かくれ不眠の認知度は2011年2月の18%から2012年4月には24%まで上がった。

 さらにエスエス製薬は、iPhone用の睡眠記録アプリ「ぐっすり~ニャ」を2012年3月から提供している。これは、約30%のユーザーが寝る前に利用しているとされるスマートフォンを活用して、就寝時に睡眠について考える機会を作ることを狙って開発したものだ。浦嶋氏はその魅力をこう説明する。

 「ぐっすり~ニャは、単純に睡眠の状態を記録できるだけでなく、レオニャルド・フミンチをフックに快眠コーディネートなどができるゲーミフィケーション要素を加え、習慣化や継続性を促進しています」

 このアプリは専門家の監修によって信頼性を向上させ、睡眠記録をソーシャルメディアに投稿できるようにして、情報拡散や話題化を促進し、スマートフォンサイトとのリンクによってブランドの浸透なども狙っている。

PRの効果でアプリランキング上昇

 ぐっすり~ニャは提供開始早々、iPhone無料アプリ健康&フィットネス部門の1位を獲得し、総合部門でも最高で7位を獲得した。ダウンロード数はリリース後1週間で10万を超え、9月30日時点で36万以上のダウンロードとなっている。これは当初目標とした10万ダウンロードを大きく上回る結果である。

 また、エスエス製薬ではPRおよびブランド広告での告知を展開して常に話題性を提供しており、総合ランキングの推移とこれらの露出時期を重ね合わせると、広告よりもPRのほうがランキングを押し上げる効果が高いことが判明した。「広告以外の方法をこれからも考えていかなければならない」と浦嶋氏は語る。

 最後に浦嶋氏は、「ヘルスケア領域は、社会的な意義が高いカテゴリー。健康に対処しなければならないという意識を浸透させるには、上から降りてくる広告だけでなく、自らが動けるソーシャルメディアなどのデジタルでの取り組みが大きな役割を果たしています。実際に今回のコミュニケーション全体を通して、アプリが非常に高い役割を果たしたと感じています」と、スマートフォンアプリの役割とその重要性を改めて強調していた。