「従来型の手法だけでは、いずれ既存客の来店頻度向上や新規顧客の獲得は難しくなる」
アウトレットモールの「三井アウトレットパーク」の現状について、運営元の1社、ららぽーとマネジメント(東京都中央区)アウトレット運営本部運営統括課の土屋渉課長代理はこう語る。
同社によれば、アウトレット関連事業は堅調に推移しているという。ただ、その状況が久しく続く保証はない。そこに危機感も感じている。
これまでも三井アウトレットパークでは、様々な手法で来店を促してきた。平日、女性限定でお得になるキャンペーンや、「朝割」といったタイムセールなどがそれだ。
ただ、単純なリアルの世界に閉じた施策では、ある意味で限界に近づきつつある。そこで同社は、徐々にデジタル施策にも力を入れ始めている。
スマホで位置情報登録してくじ引き
三井アウトレットパークは、昨年9月にFacebookページを開設している。ネット上のファンを、リアルの店舗に誘引しようというわけだ。この6月18日から7月1日にかけて、スマートフォンやFacebook利用層を強く意識したキャンペーンに取り組んだ。こんな具合だ。
対象の店舗を訪れて、スマートフォンで三井アウトレットパークのFacebookページを訪れる。キャンペーンページで位置情報を登録すると、ページ上で500円分の買い物券か、ノベルティグッズが当たるスピードクジを引ける企画である。参加者の具体的な数字こそ明らかにしないが、「我々が設けた目標には到達した。初めての試みなので比較する数字はないが、参加者数には満足している」(土屋氏)という。
キャンペーン期間中には通常ペースより多い2000人超に及ぶ、Facebookページのファン獲得にもつながった。現地でFacebookページにファン登録してもキャンペーンに参加できるようにしたことや、期間中にFacebook広告を展開した効果と同社は分析している。今後も、Facebookページに登録していると、よりお得な情報を取得できると感じてもらえる施策で、来店頻度の向上に努める考えだ。