サントリーホールディングスは6月4日、キャンペーン応募の会員制ポータルサイト「サントリータウン」をスマートフォンに完全対応させた。同様の会員制サイトでは、日本コカ・コーラが「コカ・コーラ パーク」を運営しており、会員の数は1100万人に達している。サントリーは後発ながら提供ゲームのスマホ完全対応などで差異化し、年間数百万人規模の商品キャンペーン応募者などを通じた会員獲得を進める。サントリータウンを顧客との継続的な接点の場に育てると同時に、全社的なスマホ対応の“先兵役”にも位置づける。

会員制ポータルサイトの「サントリータウン」

 サントリータウンは、同社のキャンペーン応募サイト「サントリーEクラブ」を刷新して、昨年11月からパソコンとフィーチャーフォン(従来型の携帯電話)向けに提供してきた。現在は10種類のゲームと2種類の占い、といったコンテンツの利用や、メールマガジンの購読と閲覧で得られる「サントリーポイント」を使って、サントリータウン独自の懸賞キャンペーンに応募できる。

 各商品ブランドが実施するキャンペーンにも、住所などの再入力無しに簡単に応募できる。現在は数百万人の会員がおり、月間5000万ページビューの規模になるという。サントリータウンで顧客と継続的な接点を持ち、複数の商品キャンペーンに参加してもらうための「マーケティングプラットフォーム」として位置づけ、コンテンツ強化や会員獲得に力を入れる。

 今回のスマホ対応においては、パソコンサイトなどからの自動変換方式という簡便な対応ではなく、独自にサイトを制作した。また、パソコン向けに「Flash」で制作したアクションゲームを「HTML5」で作り直して、Android端末やFlash非対応のiPhoneともにパソコンと同様の操作性、表現力で楽しめるようにした。

 「パソコンを持っていても家庭のネット利用はスマートフォンで済ます人は多く、今後のマーケティングはスマホファースト(主導)になるため、十分な対応が必須という危機意識を持っている」(広報部デジタルコミュニケーション開発部長の坂井康文氏)ことから、投資はかさんでもパソコンなどと同じサービスを利用できるようにした。

 サントリーのコーポレートサイトでは、スマホからのアクセスが全体の10数%に達しており、トップページ、第2階層ページ、一部コンテンツがスマホ対応している。ただ、ブランドサイトでは非対応のものが多い。サントリータウンがスマホ利用者の集客エンジンとなるような規模の会員数を確保することで、「今後は、まずスマホ対応を念頭にすべく、グループ内の商品ブランドへの働きかけをやっていきたい」と坂井氏は言う。

 独自のキャンペーン応募のシステムを使う商品ブランドにも、サントリータウンの利用を働きかける。合計すると年間数百万件になるキャンペーン応募の規模を生かして、サントリータウンの会員数拡大に結びつけたい考えだ。

 将来的には、ブランド名やそのキャラクターを使ったゲームによるブランディング、日本サブウェイなどグループ企業の店舗や、得意先である飲食店の集客支援の強化や、会員属性などに沿った広告配信などを開始して、サントリーグループのマーケティングプラットフォームとしての役割を強化させる。

 日本コカ・コーラのコカ・コーラ パークは、キャンペーン応募やニュース、ゲームを提供するポータルサイトで、広告事業も積極的に展開している。サントリーは酒類、清涼飲料、アイスクリームなど多様な商品を展開しているため、より幅広い層にアピールできるサイトに育つはず、と同社はみる。

 なお総務省の「平成23年通信利用動向調査」によると、2011年末におけるスマホの世帯普及率は前年比19.6ポイント増の29.3%に上った。調査会社のMM総研の予測によると、スマートフォン契約数は2014年3月末時点で48.3%とほぼ過半に達する見込み。同社調査によると、2011年度の国内出荷台数ではスマートフォンがパソコンを上回っている。