アメリカンファミリー生命保険(アフラック)は、ブランディングにキャラクターを巧みに活用する1社だ。日本では、招き猫とアヒルを組み合わせた独自のキャラクター「まねきねこダック」の人気が高い。
このキャラクターを使ったテレビCMで目を引き、高いブランド認知を維持する。それによって消費者がいざ生命保険への加入を考えた時、その候補に入れてもらう。そんなマーケティング戦略を取ってきた。
ところが、アフラックのFacebookページには、このキャラクターはほとんど登場しない。「まねきねこダックを立たせすぎると、そこにばかり関心がいってしまい、保険商品を紹介しづらくなるから」と、アフラック広告宣伝課の西真紀副長。「mixi」で、まねきねこダックのコミュニティーを運営した経験からそんなことを知った。
mixiユーザーは、ソーシャルメディア利用者の中でも比較的若年層が多い。言ってみれば保険とはやや縁遠い層だ。そのため、キャラクターを立てる意義もあった。結果、5万人超のファンが集まり、コミュニティー内の交流も進んだ。
保険の話はいつするの?
ただ、そこから次の展開は悩ましい。それまで、キャラクターがとりとめのない日記を書き綴ってきたのに、ある日突然、保険商品について日記で紹介し始めれば、ファンは驚き、離れていってしまう恐れもある。
こんな経験もあり、mixiよりユーザーの年齢層が高いと言われるFacebookページでは、あえてキャラクターを立たせない戦略を取った。

Facebookページで投稿する情報は企業活動、がんや健康に関するコラム、自社サイトに掲載した新しいコンテンツの紹介などだ。これらをFacebookページに集まるユーザーにきちんと伝えて保険に興味を持ってもらいながら、共感を感じてもらう。
コメントしてもらったり、ソーシャルメディア上のキャンペーンに参加してもらったりして、アフラックについてより深く知らせる場として活用している。
ソーシャルメディアで対話する際、企業とユーザーの間にキャラクターを入れると、それが緩衝材となってスムーズな会話が進みやすい。だが、メディアごとのユーザー属性と本来の目的を十分考慮しながら活用しないと、かえって足かせとなる場合もある。それを、アフラックの事例は教えてくれる。