昨秋に開催された「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京)」(主催:ファッション・ウィーク推進機構)は、イベントのライブ配信やソーシャルメディアを使った情報発信を大幅に強化した。延べ視聴人数は15万超、日本発のファッションを国内外にアピールした。

 華やかに見えるファッション業界だが、その市場環境は厳しい。百貨店とスーパーマーケットでの衣料品販売額は2010年までの13年間連続で減少中。成長には海外市場の開拓が欠かせない。日本発のファッションのブランド力を高めるメディアとしてファッション・ウィークにかかる期待は大きい。

 このイベントのソーシャルメディア担当となったモード・ファクトリー・ドット・コム(東京都板橋区)の平田元吉代表は、ファッション業界におけるソーシャルメディア活用や動画配信に数々の実績を持つ。平田氏はショーのライブ配信を強化して、流行を生み出すショーを幅広い層に直接、時間差無く伝えることで、日本のファッションのファンを広げたいと考えた。

複数のパソコンを使ってファッション・ウィークの本番を中継

 そこで、最もこだわったのは中継の画質だ。ライブ配信に使うサイト「YouTube」の担当者に直接頼み込み、特別にハイビジョン画像での生中継を実現した。会場となる東京ミッドタウンの中庭に新たに光回線を引き込むなどして、メイン会場以外でも高画質で配信できるようにした。

 集客はソーシャルメディアの力に期待した。事務局と協力してファッション・ウィークや各ブランドのFacebookページの開設や強化を進めたほか、ライブ配信の映像をTwitterやFacebookへの関連投稿と並べて見られる特設サイトを構築した。

 そして迎えた10月16~22日の本番。平田氏が籍を置くデジタルハリウッド大学大学院と協力し、13人のチームでライブ配信に臨んだ。参加した40以上のブランドのうち21ブランドのショーやインタビューなどの映像を配信し、前年の5倍となる延べ15万人以上が視聴した。

 規模の面では成功したライブ配信だが課題も残った。その1つが、海外からの視聴が全体の5%にとどまったこと。視聴者の3分の2はYouTube日本版のサイト内からの訪問者だった。

 また、国内のファッション系アルファブロガーと協力しながら1日平均約50万人のTwitterユーザーへイベント情報を届けることができた(ホットリンク調べ)。その分、視聴数を稼げたわけだが、海外への告知体制は不十分だった。Facebookページのファン数を十分に獲得できていなかったのも一因だ。

 ソーシャルメディアと動画を活用した日本の魅力の発信。成功モデルを見いだせれば、あらゆる産業に応用可能だ。海外視聴者の増加に向けファッション・ウィークに合わせ来日する海外のファッション系アルファブロガーとの連携など「実験という枠を超えて日本発ブランドの飛躍や業界の活性化」(平田氏)につながるよう、次回の具体策を練る。