日本の年間婚姻数は2010年に約70万件で10年前より約9万件減少、そのうち結婚式を挙げる人は半数の30万~35万組だといわれている。年々縮小するウェディング市場において、サービス開始からわずか3年で、結婚式場情報サイトでトップクラスのクチコミ投稿件数や閲覧者数を誇るまでに成長にしたのが「みんなのウェディング」だ。

サイトへの訪問者数は右肩上がり

 今年10月には過去最高の訪問者数(ユニークユーザー)80万人を記録し、月間ページビュー数は960万に上る。ウェディングは一生にほぼ一度のイベントであり、結婚した人がリピートする確率はゼロに近い。サービスの成長には絶え間なく新規顧客を拡大させる必要がある。みんなのウェディングが支持される理由、その新規顧客獲得の手法は多くの企業の参考になるのではなかろうか。

 みんなのウェディングというサイトは、2008年2月にディー・エヌ・エーがサービスを開始し、2010年10月に分社され、みんなのウェディング(東京都中央区)として設立され現在の運営形態となった。

 多くの結婚式場情報サイトが広告主である式場の目線で運営されている中にあって、花嫁や花婿が本当に知りたい情報を提供する場を目指して誕生した。サービスを始めるに当たって半年間で全国で1000人の花嫁にヒアリングをしながら、それを参考にサービス内容を固めていったという。キーワードとなったのは「本音」だった。

 ネガティブなクチコミもユーザーの言葉のまま掲載し、ユーザーが受け取った式場の見積書も載せている。当初は式場などから削除依頼の要請もあったが、本音のクチコミが数千、数万と集まっていくうちにユーザーがクチコミを参考に式場を選ぶことが分かってくると、ウェディング業界の理解も深まっていった。

 現在、情報が掲載されている式場数は5200件。みんなのウェディングは、そこに写真などを公式情報として掲載することで式場から掲載料を得る。クライアント数は毎月30~40件増えており、総クライアント数は約800件に達している。

クチコミを含むコンテンツがSEO対策に

 さて、みんなのウェディングが継続的に新規顧客獲得に成功している理由はどこにあるのだろうか。

 サイトへのトラフィックの7~8割は自然検索、検索連動型広告を合わせた検索エンジン経由だ。サービス開始当初から自然検索からの流入は高く、それは約4年たった今でも変わらない。

 数ある結婚式場情報サイトより検索結果の上位に表示される理由は、ほかならぬ膨大な量のクチコミ情報があるからだ。ユーザーが投稿した10万件以上のクチコミ情報はキーワードの宝庫だ。

 式場の名称はもちろん、結婚に関連するキーワードは一通り網羅されている。検索したユーザーの受け皿となるランディングページがクチコミ情報によって自然と生成され、SEO(検索エンジン最適化)効果を発揮しているのだ。

10万円以下の激安婚特集のサイト

 ユーザーがウェブサイトにたどり着くために使用したキーワードを把握し、検索されやすいキーワードに適合するコンテンツを用意することも欠かさない。「銀座 結婚式場」というキーワードで検索したユーザーに対して、みんなのウェディングのトップを表示しても仕方がない。

 「東京 結婚式場 口コミ」「激安 結婚式」のように求める情報が明確なキーワードで検索するユーザーを特集ページなどに誘導する。経済的な理由から式を挙げないカップルも増えているが、「10万円以下の激安婚」や「お急ぎ婚&おめでた婚特集」といった安さ重視の特集が人気を集めている。

見込み客への啓蒙としての「相談広場」

 ただ、検索でいくら露出しても、みんなのウェディングの認知度が低ければクリックされづらいだろう。結婚予備軍への認知度向上が必要だが、結婚適齢期が広がった今、ターゲットを年代で区切ることは非常に困難だ。

 その対策として機能しているのが、サービス開始当初からある「相談広場」である。ご祝儀の金額やお車代、婚約者の両親とうまくいかないといった結婚にまつわるあらゆる相談が投稿され、回答されている。

 相談投稿数が多い結婚準備のカテゴリーには、「指輪・リング」「ドレス」「結婚報告・挨拶」「家族問題」などがある。知り合いには話しにくい内容を匿名で相談するユーザーが多いようだ。結婚披露宴の服装や、プロポーズについて悩む結婚予備軍向けの相談と回答も充実している。

 認知度向上策は、より幅広い層に向けても実施している。効果的なのは外部サイトへのニュース配信だ。配信先はディー・エヌ・エーのゲーム系SNS「モバゲー」、オリコンのエンタテインメント情報サイト「ORICON STYLE」で、加えて大手ポータルサイトへの配信も決まっている。

 そのニュースソースになるのも相談広場だ。ここに集まる相談や回答を特集記事に仕立てて、毎日1~2本配信している。相談広場に寄せられる悩みにはディープなものが多く、ゲームで疑似体験を好むモバゲーユーザーとの親和性が高いコンテンツのようだ。

 モバゲーへのニュース配信を開始してから半年強で、既にモバイルトラフィックの15%を占めるようになっている。ランキング10位以内に入ったニュースはモバゲー上で数百件のコメントが付き、相談広場へ数十万のトラフィックをもたらす効果が出ている。

 読まれる特集のツボは、「それは聞けない」に答えることだ。過去の人気ニュースには、「結婚式の3日前に旦那の浮気が発覚しました。結婚式は挙げるべきでしょうか」や「浮気をされない女性になる方法」などがある。

 モバゲーのニュース記事の最後には、みんなのウェディングへのリンクと関連記事へのリンクを設置。恋愛、両親、親戚、お金といった広いテーマを網羅したニュースコンテンツを配信することで、相談広場への流入は増え続けている。サービスの財産であるユーザーの生の声が、まだ結婚式の当事者ではないユーザーの認知度を向上させる働きをしているのだ。

 見込みユーザーへの認知度向上を目的とした他社とのキャンペーンにも積極的だ。その1つが、マーケティングリーチ会社のイード(東京都中野区)が運営するSNSサイト「DietClub」とのコラボレーションである。

 ウェディングドレスをきれいに着たい花嫁にダイエット日記をつけてもらう。日記のデザインをみんなのウェディング仕様にすることで、花嫁の友達など日記の訪問者にサービスを認知してもらうきっかけになる。サービス開始からすぐに100人の花嫁が日記を始めた。

 また、ネットメディア運営のVASILY(東京都渋谷区)のソーシャルファッションサイト「iQON」とともに、二次会のお呼ばれコーディネートキャンペーンを実施。これから結婚を意識する世代の女性が多く集まるiQONに、開始から2週間で150件のコーディネートが集まったという。

他社とのコラボレーションで魅力を高める

 認知度の向上、サイトへの集客に次いで必要なのは、サイトへ来たユーザーに、式場の資料請求などをしてもらう最後の一押しだ。そこで、同社は千趣会や大丸、ジャルパックなどと組んだコラボレーションにより実現している。

 通販サイト「ベルメゾン」を運営する千趣会とは、みんなのウェディング経由でブライダルフェアや見学の予約をすると、全員にベルメゾンのお買い物券3000円をプレゼントするキャンペーンを実施中だ。大丸と実施しているのは、みんなのウェディングを経由して「大丸 WEB ショッピング」で結婚内祝いや出産内祝いの商品を購入すると、50 人に1人の確率で購入金額全額(上限は10万円)をキャッシュバックするキャンペーンである。

 こうした共同キャンペーンで、千趣会や大丸には新規顧客獲得というメリット、みんなのウェディングにはユーザーへの還元、広告媒体としての価値の顕在化、式場への送客といった効果がある。みんなのウェディングは親和性が高く、双方の強みが生かせるアライアンス先と組んでいる。

 同社が実施したアンケートで「友人・知人に薦めたいか」と尋ねたところ、みんなのウェディングは他社サービスを上回る結果を出したという。サービスを支持するユーザーからの思いがクチコミや相談コンテンツの増加につながり、それがあらゆる側面で効果を発揮してサービスの向上となっているようだ。

こうした式場の見積書まで掲載する

 薦めたいサービスとなっていることについて、同社代表取締役の飯尾慶介氏にこう語る。

 「花嫁・花婿第一主義という事業ミッションのもと、真にユーザーが求める情報・コンテンツは何かということにこだわりぬいてサービスを開発・運営してきました。その結果、本音のクチコミ、リアルな費用明細という他サイトでは得ることができない情報を提供できており、それがユーザーからの圧倒的な支持につながっているのだと思います」

 ごく当たり前、簡単なようにも聞こえるが、批判も含むクチコミや式場としては秘密にしておきたい費用の公開には大きな反発もあったはず。その中でもミッションをぶれずに持ち続けたことが、サービスの魅力を高め、新規顧客の獲得に貢献している。