以前フォローした企業のTwitterアカウント。「最近ツイートを見かけないな」と思いアクセスしてみると、キャンペーン期間が終了して半年以上投稿がない、あるいは「そのページは存在しません」と表示される──。そんな場面によく出くわす。

 例えば、東京地下鉄(東京メトロ)の駅ナカ商業施設「エチカ」が昨年末に開設したクリスマス限定アカウント(@echikaxmas)は、現在クローズ。一方、東日本旅客鉄道グループの商業施設「ルミネ」のクリスマスアカウント(@lumine_xmas)は、更新停止のお知らせと新春バーゲンの告知URLが“最新”ツイートとして残っている。

 季節に合わせたセールや、オープン10周年といった節目のイベントで展開するTwitterアカウントは、実は終わった後の扱いが悩ましい。フォロワーがたくさん付くと、せっかくの縁を自ら葬り去るのは忍びなく感じる。だがそのまま放置しておくのも、あたかも企画が頓挫して放置しているように見えかねず気にかかる。

 最善策は公式アカウントとして継続運用していくことだ。それでもなお課題は残る。既に公式アカウントが別にある場合はどうするか。また、イベントに合わせて「Xmas」「10th」といったワードをアカウント名に入れている場合も継続のネックになる。

半年で5回、アカウント“改名”

 そんな悩みを抱えているTwitter担当者にとって、1つのお手本になるのが、そごう・西武のTwitter運用だ。

 実はTwitterのアカウント名は、フォロワーを維持したまま変更できる。通常はサービス名称が変わった場合などにやむなく変更するケースが大半だが、同社が昨年のクリスマス商戦から始めたセール販促用Twitterアカウントは、変更可能であることを積極的に利用。今年の父の日まで既にアカウント名を5回“改名”し、フォロワーの維持と飽きの来ないキャンペーンアカウント運用を両立させている。

イベントごとにTwitterアカウントを“改名”しているそごう・西武

 クリスマス商戦最終日の12月25日の夜、商戦をナビゲートする同社のトナカイTwitter(@Xmas_tonakai)は、「来年もtwitterでみなさんに会えますように」と、フォロワーとの別れを名残惜しそうにツイートしていた。それから1週間後の2011年元旦、「冬市トナカイ」(@fuyuichiTONAKAI)として再登場。翌日からの新春初売りの告知を開始した。

 クリスマスが終わったのになぜトナカイのままなのか? 「トナカイの生態を調べたところ、冬に生える雌の角は雪をかき分けて食料を探し、子どもを守るためにあると知り、“家族の絆”を象徴するキャラクターとしてふさわしいと思った。そこで年間を通して“走ってもらう”ことにした」と同社販売促進部宣伝企画担当の羽下由佳氏は説明する。

 同社には、長らく「夏市」「冬市」をリードしてきた有名なキャラクター「おかいものクマ」がある。アカウント(@sogoseibu_kuma)も開設しているが、実は“買い物客”の立場であるため、あまり販促ツイートを連呼させにくい事情もあった。

 かくしてTwitter限定ながらそごう・西武の新しい顔となったトナカイは、1月10日に冬市を終えると、1週間後の17日に今度はバレンタイントナカイ(@0214tonakai)として、以後、ホワイトデートナカイ(@0314tonakai)、母の日トナカイ(@mama_tonakai)、父の日トナカイ(@papa_tonakai)と変遷を遂げてきた。アイコンも、トナカイの耳の部分がクリスマスはヒイラギ、冬市は門松、バレンタインはハート型という具合にマイナーチェンジさせている。

 セール最終日は「短い間でしたがありがとう☆またお会いしましょう」という挨拶で締めくくり、次期セールの開始時には、柱の陰から様子をうかがうような絵文字とともに登場。フォロワーから「見つけた」「待ってました」と歓迎ツイートを受けるのが定番のやりとりとなっている。

 トナカイにちなみ「知ってるカイ?」など駄洒落を利かせた軟式ツイートが身上だが、「品切れのケーキも出ているので予約はお早めに」といったセールストークも押し付けにならない調子で巧みに盛り込む。

「@」が付く返信や引用RT、公式RTの回数をバロメーターに

 「そごう」「西武」などの単語は常時リアルタイム検索し、「イケセイのチョコレートパラダイス、激混み~」といった来店客のツイートはすかさず公式RTしてフォロワーの来店意欲を刺激。また、同社のコスメEC「イケセイキレイ」やギフトEC「イケセイギフト」のTwitterアカウントのツイートも適宜引用し、ECサイトへの誘導にも余念がない。

 宣伝企画担当の関口泰史氏は、「ツイート総数のうち「@」が付く返信や引用RT、公式RTの割合が6割を占めている。キャンペーンなどで闇雲にフォロワー数を増やすより、コミュニケーションの密度を示すこの数字をバロメーターにしてやりとりを活性化させたい」と語る。

 これまで百貨店が得意としていた中元・歳暮・年賀などの贈答慣習は廃れつつある。代わって伸びているのが、若い世代を中心に家族や親しい友人同士でプレゼントを贈り合うパーソナルギフト。その盛り上げ役として、同社がTwitterに賭ける期待は大きい。