Webコンテンツ制作会社のバスキュール(東京都港区)とミクシィは5月25日、共同出資会社「バスキュール号」を設立する。「mixi」をはじめとするソーシャルメディアと連携した「ソーシャルサービス」とも言える新サービスを運営して、新しい広告モデルの開発を目指す。大手広告主も含めた企業の注目が「Facebook」に集まる中、ミクシィ巻き返しの一手となるか注目される。

 バスキュール号は今秋までに、位置情報共有サービス、女性など属性でターゲティングしたソーシャルサービス、ソーシャルメディアと連携したラジオ番組といった3つのサービスを開始する予定だ。いずれも主にスマートフォン向けに開発する。

 また、バスキュールが制作して、昨年12月に約300万人が登録したmixiアプリ「mixi Xmas」の2011年版を提供して、昨年以上のユーザー数獲得を目指す。mixi Xmasはユーザーが持つくつ下型のベルを鳴らしあうことでポイントがたまり、賞品が当たるコンテンツ。友人との協力で当選確率が向上するため、クチコミで利用が広がった。

 賞品が当たるだけでなく、友人へのギフトEC(電子商取引)需要を喚起したことで5日間に1万2000個の「ポッキー」が売れたという。ギフトを贈られた友人は電子クーポンを受け取り、セブン-イレブン店舗でポッキーと引き替える仕組みだ。バスキュール号はこうしたソーシャルグラフとEC、ギフトを連携させたような新しい広告モデルを開発していく。連携先はmixiに限定せず、必要とあらばFacebookや「Twitter」も活用していく方針だ。

 バスキュール号の資本金は9750万円(準備金を含めると1億9500万円)で、バスキュールが66%、ミクシィが34%出資する。代表取締役にはバスキュールの朴正義社長が就任し、本社はバスキュールと同じ東京都港区に置く。社員数は当初15人。

 ミクシィはクリエーティブでは世界のトップクラスと評価するバスキュールの力を借りて、ソーシャルサービスを活用した新たな広告モデルを開発し、mixiの収益力の強化を目指す。

今夏以降はFacebookページ的サービスも

 また、同社は今夏以降、Facebookにおける「Facebookページ」のようなイメージで、mixi上で企業が情報発信できるサービスを開始する予定だ。また、閲覧者の友人の写真などをクリエーティブに盛り込んで誘導力を高めた広告「ソーシャルバナー」の配信も本格化させる。

 バスキュールはミクシィの知名度、営業力を生かして、新たに開発するソーシャルサービスの広告主の獲得、サービスの早期立ち上げを目指す。同社の朴正義代表取締役は、「国内最大のリアルなソーシャルグラフを持つミクシィと組んで、これからの新しい広告のカタチを探っていきたい」と意気込む。

 バスキュールは昨年、ユニリーバ・ジャパンのヘアケアブランド「LUX」のmixiアプリ「The Actress~華麗なる女優たち~」を制作。合計90万人が登録して4500万回遊び、プロモーション目的のmixiアプリとしては最大規模のヒットとなった。今年に入っては、日本コカ・コーラの缶コーヒー「ジョージア」のテレビCMを制作するなど、Webコンテンツ制作以外にも事業を拡大している。

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