世界最大のSNS「Facebook」をマーケティングに積極活用する良品計画。第2回の本稿では、クチコミ効果を使って実店舗との連携を図り、17日間で900万円の売り上げを達成したその舞台裏に迫る。消費者から信頼や評判を得る、いわゆる「アーンドメディア」としての活用方法である。

デジタルサイネージの費用200万円も十分回収

 それは昨年11月、無印良品の有楽町店が開店から10年目に入ったことを記念した企画だった。

 「無印良品といえば?」をテーマに、店舗でのエピソードや商品・企業に対するイメージなどを、Facebookと「Twitter」から投稿してもらうものだ。いずれかのサービスを利用してユーザーが投稿すると、有楽町店だけで使える10%割引のクーポンの画面に切り替わる。その画面をプリントするなどして有楽町店で会計を済ませるときに見せると割引サービスを受けられる仕組みだ。

Twitterからの投稿を店舗に設置したデジタルサイネージに表示した

 良品計画は企画の盛り上げを狙って、有楽町店に約200万円のコストをかけてデジタルサイネージを設置した。Twitterから投稿されたコメントを、巨大なスクリーンに表示して“ライブ感”を演出。それを、企画を知らずに有楽町店に訪れた人にも見せることで、企画への参加を促した。

 キャンペーン期間の1月7日から23日の17日間で寄せられたメッセージは合計2150件にのぼった。うちTwitter経由が1593件、Facebook経由が557件だった。

 単純に商品名を記載したコメントだけではなく、「無印良品といえば、ワクワクと安心が交差する、安らぎの場所」「無印良品といえば、『右と左のある足なり直角靴下』。履き心地、そして均等に劣化するので長持ちします」といったブランドへの印象や、商品に対する具体的な意見などのコメントも数多く投稿された。

 投稿したユーザーのうちクーポンを使用したのは884人。つまり投稿者の41%が、有楽町店を訪れて買い物をしたことになる。この企画には、ソーシャルメディアの効果を測定するという目的もあった。そのため、ほかの割引キャンペーンなどはあえて実施していない。企画を担当した、奥谷孝司WEB事業部長は言う。「割引額を差し引いても、900万円の売上高につながった」。ソーシャルメディアでの企画が、店舗への集客にも効果があったことを実証した形だ。「(200万円という)デジタルサイネージにかけたコストも、1回の企画で回収できた。今後、ほかの店舗での企画にも使える」(同氏)結果となった。

 アーンドメディアとしてのFacebookは、良品計画がこれまで商品開発をする際に顧客からの意見を聞いたりする「くらしの良品研究所」の利用活性化にも一役買っている。

くらしの良品研究所を利用する敷居を下げる

 くらしの良品研究所では、良品計画の企業理念や商品を有効的に使うための方法といったコラムを掲載してきた。ただし、コラムへの意見を投稿するには、決まったフォームに従って、個人情報などと合わせて投稿する必要があった。そうした事情から、「サイトの訪問者は、無印良品の熱心なファンにとどまっていた」(奥谷氏)。

 ディープなファンだけでなく、ライトなファンにもコラムを読んでもらって、無印ファンのすそ野を広げたい。そんな狙いから同社は、このコラムをFacebookページの「ノート」機能を使って、そこに転載することを昨年10月から始めている。これなら、個人情報など登録しなくて済むため、ライトユーザーにもコラムを読んでもらえことを期待している。

くらしの良品研究所のコメントをFacebookと共通化

 また、コラムに対するコメント投稿機能をFacebookと共通化して、Facebookページとくらしの良品研究所のどちらからコメントを投稿しても、両方に表示されるようにした。ロイヤルユーザーからライトユーザーまで、一気にコメントや意見を得るためだ。

 コラムによっては100を超える「いいね!」が付く。そして、Facebookページのファンが持つ友人への情報波及につながっていく。また、Facebookユーザーなら誰でもコメントできるようにしたことで、サイトの内外から多くのコメントが寄せられるようになっているという。

 もっとも、良品計画は一足飛びにFacebookをマーケティングにフル活用するようになったわけではない。次回は、同社のソーシャルメディアに対する取り組みの歴史に焦点を当てていく。