SEO環境は大きく変わり、今までの対策が通用しなくなった、との声も聞こえてくる。では今後はSEOにどのように取り組んでいけばよいのか。Q&A形式で解説していく。
Q:今後のSEOの投資方針はどうすべき?
上位表示を巡る競争が激化すると、SEO対策への投資は大きくかさみかねない。また、施策は外部サイトからのリンクを集める外部対策と、サイトを改善する内部対策に分かれる。今後はどこに注力すべきだろうか。
まず、SEOは投資した分の成果が約束されているわけではないことに留意すべきだ。外部リンクを購入しても、検索順位が必ず上がるわけではない。そのため「小手先で外部リンクを増やすのは、費用対効果が見えないため、やめた方がいい」(タビオの真砂氏)という意見もある。
さらに、気を付けなければいけないのは、SEO対策と称して“怪しい”サイトからのリンクを販売する業者もいることだ。グーグルは検索結果の操作を目的としたリンク売買を問題視しており、リンクの購入によりサイトの評価が下がる可能性がある。
海外事情にも詳しいSEOコンサルタントの鈴木謙一氏は、米グーグルでスパム対策に取り組むマット・カッツ氏にインタビューした際に「これまでは米国のグーグルの方がスパムとの戦いの歴史が長く、厳しい対応ができていた。今後は日本でも強化していきたい」という旨のコメントを得たという。グーグルは昨年末、ウェブマスター向けブログで「Googleが有料リンクを信頼しない理由」と題する記事を掲載。具体例を挙げながら、有料リンクを発見した場合はグーグルに報告するよう改めて求めた。
外部リンクの購入は手間無く効果を発揮するため、重宝されてきた面もある。しかし、今後はコンテンツに投資して検索エンジンからの評価を高めつつ、自然にリンク数が増えるようにした方が得策だろう。ゴンウェブコンサルティングの権成俊社長は「コンテンツの拡充で、SEO効果向上にも、コンバージョンの後押しにもなる」と指摘する。
Q:SEOに向くコンテンツの拡充方法は?
「SEOを意識しながらコンテンツの強化」というと、難しく感じる人も多いのではないだろうか。製品情報を拡充するにしても限度がある。
しかし、コンテンツのヒントは簡単に探すことができる。自分で考えるのが難しければ、ユーザーが何を望んでいるのかを調べるのが効果的だ。例えば、検索経由で自社サイトにアクセスするユーザーがどのような検索キーワードを使うことが多いのか、そのリストは確認したい。検索キーワードを見ることで、ユーザーのニーズは分かるため、それに該当する情報を提供していけばいい。
また「Q&Aサイトを見るのも効果的」と、検索エンジンマーケティングを得意とするネット広告代理店アイレップCSO(最高戦略責任者)の渡辺隆広氏は指摘する。関連分野でどのような質問があるのか、どのような回答があるのかを調べることで、より幅広い情報を得られるだろう。
さらに、ブログを活用することで執筆の敷居は下げられる。ブログであれば更新が容易で、内容を細かく作り込む必要がなくなる。自社で扱う商品などについて書いていけば検索される機会を増やせると同時に、ユーザーに役立つ情報にもなる。
アパレル企業のネット活用を支援するアパレルウェブ(東京都中央区)ソリューション企画ユニットのユニット長である増田智士氏は、「例えば各店舗のスタッフがそれぞれ新入荷した製品についてお知らせしたり、イベント情報を書いたりするだけでコンテンツ拡充になり、販促ツールとしての効果は大きい」と指摘する。
Q:検索エンジン独自の特化型検索への対応は?
ヤフーは、グーグルの検索エンジンへの切り替えを発表した際に、検索結果については独自のカスタマイズをするとしていた。Webサイトの検索の部分は共通でも、検索キーワードによっては、ネットショッピング検索、ローカル検索の結果が検索結果の上部や、途中に挿入されることがある。今後のSEOでは、こうした検索エンジン独自のサービスへの対応も進める必要が出てくる。
Yahoo! JAPANの場合、ローカル情報では「Yahoo!地図」の情報を表示し、ショッピング情報では「Yahoo!ショッピング」に出店するサイトの情報を表示している。例えば、「六本木 ラーメン」と検索すれば、検索結果の最上部に六本木周辺の店舗情報が地図と共に表示される。企業、店舗は、無料で自社の情報をYahoo!地図へ登録できるので、手間を惜しまず登録すべきだ。ユーザーは検索結果から必ずしも企業サイトへのリンクをクリックするとは限らない。あらゆる機会を活用すべきだ。

グーグルでも、ローカル情報は「Googleプレイス」、ショッピング情報は「Googleショッピング」の情報をWebサイトの検索結果に交えて表示する。プレイスは店舗が基本情報、クチコミなどを集約した情報ページを持てるサービスだ。店舗のオーナーであれば、無料でプレイスページの内容を編集できる。なお、Googleショッピングへの登録も無料だ。
現状では、検索ワードによってGoogleプレイスの表示方法に違いがある。ワードによっては、通常の検索結果よりかなり目立つよう“優遇”されており、 CTR(クリック率)が高い可能性がある。表示方法は今後変化する可能性は高いが、小売店や飲食店など、店舗展開をする業種の企業にとっては、 Googleプレイスのようなローカル情報検索への対応が必須になるだろう。
Q:スモールワード対策はどうすべき?
スモールワードでのSEOを重視すべきという意見は多いが、その対策は何が有効か。「Twitterなどを使うのも役に立つ」とアパレルウェブの増田氏は指摘する。Twitterは直接的なSEO効果は持たないが、呼び込みたいユーザーが使いそうなキーワードで発言していけば、検索を通じて Twitter、そしてサイトに誘導できる。「購買につながりそうなキーワードを1000個から1万、2万個に増やしていくことが重要だ」(増田氏)と言う。
ただし、「グーグルはロングテール部分のアルゴリズムを調整しつつあるようで、サイトへ誘導する検索語の総数は以前のヤフーよりも減っている印象を受ける」(アユダンテの江沢氏)という意見もある。
Q:キーワード出現率とは?
集客したいキーワードがページの中にどれくらい含まれているか。その出現率はSEOで考慮されることが多い。「○%以上(程度)を目指すべき」などと具体的な数値目標を言うこともあるが、その数値の真偽は分からないのが実情だ。また、最近は以前ほどキーワード出現率は重要でなくなったとする意見もある。
ただし、重視するキーワードをページ内で適切に使うことにはもちろん配慮すべきだ。また、競合サイトの分析をする際にも、キーワード出現率は見ておきたいポイントだ。
「キーワード出現頻度解析ツール」などネット上で無料で利用できる測定ツールがある。これらを使えば簡単に調べられるだろう。