今なぜ、シェアが新たな消費を生み出すキーワードとして注目が高まっているのか。『Facebook時代の新たな消費スタイル『シェア』』でご紹介した書籍『SHARE』によれば、その背景には大きく分けて3つのポイントがある。

 1つ目のポイントは、ソーシャルメディアを使った、他者との信頼関係の構築だ。消費者同士でモノを売買する際に、取引相手とのやり取りは従来、基本的に取引成立後に初めて発生していた。そのため、取引相手との信頼を担保するのは、過去の取引履歴が中心となってきた。つまり初めてやり取りするときには、見知らぬ誰かを信用しなければならなかった。

Facebook時代に芽生える信頼

 ソーシャルメディアが普及した「Facebook時代」では、ソーシャルグラフ上でつながる知人との間で、製品や情報を共有できるようになった。「あの人が使っていた製品なら信頼できる」「あの人なら大切に使ってくれそうだ」。そんな信頼関係がシェアを加速させる。

 ここまで紹介してきたように、ブログやTwitter上での信頼関係を生かしたサービスは既に登場している。今後は、サービスのオープン化を進めるmixiや、実名での利用を推進するFacebookのソーシャルグラフを使うことも可能になる。

 また、1人のユーザーが複数のソーシャルグラフを持ちつつあることも、様々なシェアを生み出す一翼を担いそうだ。例えば、Facebookでは仕事の関係で知り合った人たち、mixiでは学生時代の友人、Twitterでは趣味が合う友人といった具合だ。各ソーシャルグラフに対して最適な製品や情報をシェアしたいというニーズは一層高まるだろう。

 2つ目のポイントは、余剰キャパシティを活用する志向の高まりだ。買ったけど読まなかったビジネス書。休日は使われない業務用の車。買い換えて必要の無くなった古い電気ストーブ。周りを見渡せば、“余剰キャパシティ”はいたるところに存在する。

 『【トレンド2】知り合いフリマ ―― モノの交換』で紹介したリブリスを展開するkamadoの川崎社長は「リブリスでは、オークションで数千円程度のお金を稼ぐより、それを欲しがる人に有効活用してもらうことにこそ価値を感じる人も多い」と言う。余っているモノを人に使ってもらいたい。そんな価値観の広がりがシェアという概念の浸透を後押ししている。

 最後のポイントは、クリティカルマスを超えること。クリティカルマスとは、製品やサービスの普及率が、市場全体の約10~20%に達することを指す。

 例えば、カフォレで車を借りようとした時に、自分が住む地域に借りられる車が1台も無ければ、カフォレのWebサイトからは離脱してしまうだろう。逆に、貸し手が溢れているのに、借り手がいないという状況でもサービスはうまく展開していかない。貸し手と借り手の双方がある程度潤沢になってこないと利用は広がらない。首都圏から広がっているこのサービスが、地方でも登録が増えていくかどうかが成否を分ける。

 一方、ソーシャルメディアの普及度は疑いなくクリティカルマスとなっており、シェアが広がる土壌は整った。シェアが消費を救う特効薬と成り得るか。それは、ソーシャルグラフの友人と製品や価値を共有するという概念がいかに浸透するかにかかっている。

シェアが広がる3つのポイント

レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース 著
小林弘人 監修・解説
関美和 訳
  • ソーシャルメディアによる他者との信頼関係の構築
  • 余剰キャパシティを活用する意向の高まり
  • クリティカルマスを超える