米ナイキや独アディダスなどと並ぶ大手スポーツブランドである米ニューバランスの日本法人、ニューバランスジャパン(東京都千代田区)が動画を活用した“リブランディング”を加速している。
同社は2016年11月5日、4階建てのビル一棟を丸ごと使った直営旗艦店「ニューバランス 原宿」(原宿店)を東京・原宿にオープンした。プレスや著名人を招いた開店前日のお披露目イベントをムービーカメラ2台で撮影し、公式Facebookと自社サイトの「NB Channel」で動画としてそのままライブ配信した。「原宿店の雰囲気をそのまま伝えて、ニューバランスの目指すブランドイメージを多くの人に認識してもらうこと」(マーケティング部シニアマネージャーの鈴木健氏)を狙った。動画の再生回数は開業後2日で1万回以上となり、想定以上の効果が得られたという。

スニーカーなど、スポーツアパレルのイメージが強いニューバランスだが、同社は「本格的なスポーツブランドであり、かつ普段の生活でも着こなしてもらえる“ライフスタイルブランド”」(鈴木氏)であることをコンセプトとしている。スポーツ好きのユーザーからは高い認知と支持を得ていたが、ユーザー層の広がりが十分ではなかったという。そこで、女性などにランニング以外のスポーツシーンや普段の生活でも着こなせることをアピール。カジュアルなライフスタイルブランドという点で先行するナイキやアディダスなどに追随することを目指している。
原宿店2階に女性向けの新しい商品をそろえる
原宿店は、そうした新しいブランドイメージを伝えるためのショールームという位置付けになる。2階は女性向け、3階は男性向けとし、女性向け売り場にはゴルフ、テニスといった人気のスポーツウエアに加え、休日に無理なく使えるカジュアルなシューズやシャツ、ロング丈チュニックなど同店限定商品を揃え、「ニューバランスの目指すイメージをあますところなく伝えるようにした」(鈴木氏)。また冒頭で紹介したお披露目動画などは、原宿店が入るビルに設置した巨大なデジタルサイネージでも放映。この旗艦店の特徴を広くアピールした。
今後は、2016年9月に開催して好評だった女性向けスポーツイベント「GIRLS NIGHT OUT」を原宿店で定期的に開催し、その模様を動画配信する予定。ニューバランスのブランドイメージを伝えるコンテンツを蓄積し、「コンテンツマーケティングの手法でブランドイメージの訴求に役立てていく」(鈴木氏)考えだ。またユーザーが店内を自由に見られる360度カメラで撮影したコンテンツの制作も検討しているという。
さらに米国では提供しているスマートフォン向けアプリ「MY NB」を2017年中にリリースする予定。来店や「GIRLS NIGHT OUT」のようなイベントに参加した回数や、スマホを持ってランニングした距離に応じてポイントを付与する仕組みを提供する。そうして直営店やイベント、動画配信、商品などで示す新しいブランドイメージを好むユーザーを拡大していく方針だ。