日本各地の生協や生協連合会が加入する全国組織である日本生活協同組合連合会(日本生協連、東京都渋谷区)の運営するEC(電子商取引)サイト「くらしと生協」が、11月16日から会員向けのターゲティングメールの配信を始め、成果を上げている。

くらしと生協が初めてターゲティングメールとして配信したメルマガ
くらしと生協が初めてターゲティングメールとして配信したメルマガ

 「くらしと生協」は日本生協連の通販事業の1つ。「年間約500億円という通販事業の売上高のうち、90%強は紙カタログ経由で、8~9%がECサイト経由で注文を受けている」(日本生協連通販本部カタログ供給企画部インターネットグループの峰村健史グループマネージャー)。通常の生協ルートの主力商品である食品は扱わず、主に衣類や日用品を登録会員宅に直接、宅配便で送り届けている。

 各地の生協に加入し、さらにメールアドレスなどを登録し、インターネット利用会員になった人しか、くらしと生協を利用できない。このため「マーケティングを展開するうえで、既存会員向けのメールマガジンからのECサイトへの“流入”が重要になる」(峰村氏)。

 これまでは、数十万人という登録した会員全員に向けて同一内容のメールを一斉配信してきたが、「ややきめ細かさに欠けていた」(峰村氏)。そこで、一斉配信メールに加え、「購買履歴やECサイトへのアクセスログなどを解析して得られたデータに基づき、シナリオを設定して、狙った会員ごとにターゲティングメールを自動で配信できる仕組みを2015年秋に採り入れた」(峰村氏)。導入したのはオプト傘下のマーケティング支援会社、デジミホ(東京都港区)が開発・販売するマーケティングツール「R∞(アールエイト)」だ。

バナー広告の出し分けも視野

 11月16日に配信した最初のターゲティングメールは、「初回購入で肌着・インナーを購入し、その購買日から14日経過している会員」という条件で対象を約600人に絞り込み、配信した。過去のデータから、初めてくらしと生協のECサイトで商品を購入するとき、肌着・インナーを選んだ会員は、「同サイトのファッション商品全般に興味を示し、ロイヤルティーも高い傾向にある」(峰村氏)と分かっていたからだ。その結果、一斉配信メールでは約7%だったCTR(クリック率)が当初の想定を上回る、4倍の28%に上昇した。

 今後は、「カートに商品を入れたが買わずにECサイトから離脱した会員」や「初回に購入した商品が肌着、インナー、シーツのいずれかだった会員」など、配信規模が数千人程度になるように条件を変えたり、1回目のターゲティングメールの4週間後に服装のコーディネート例を記載したターゲティングメールを送るというようにシナリオを変えたりすることを予定。「ターゲティングメールでワン・トゥ・ワンマーケティングを展開していく」(峰村氏)という。

 短期的には、ターゲティングメールの導入前と比べて、「ECサイトだけで毎月200万円の増収が目標」(峰村氏)。長期的には「LTV(顧客生涯価値)の向上を意識し、既存の会員に多くの商品を買ってもらうことを目指す」(峰村氏)という。そのために、近い将来、ターゲティングメールだけでなく、ユーザーの興味・嗜好に合わせたバナー広告の出し分けにも取り組む考えだ。