アニメ作品やゲームソフトの制作・販売、2.5次元ミュージカルの制作などを手掛けるエンターテインメント企業マーベラスが、若手男性俳優の育成とマーケティングを狙ったプロジェクトを新たに始める。スマートフォン向け着せ替えアプリ「CocoPPa(ココッパ)」をリリースし、世界中で約4000万ダウンロードを達成したユナイテッドの子会社フォッグ(東京都渋谷区)、有力音楽出版会社の1社であるテレビ朝日ミュージック(東京都港区)の2社と提携し、3社共同プロジェクトとして取り組む。

 マーベラスが俳優の育成とマーケティングに取り組むのは、同社が中心となって育ててきた2.5次元ミュージカルを支える俳優をアピールする場が、「現状ではまだまだ少ない」(マーベラスの常務取締役執行役員・音楽映像事業部長の松本慶明氏)から。ファンにアピールするメディアは、俳優自身のブログくらいしかなく、ファンは公演以外に好みの俳優と接する機会が少ない。

 そこで、スマートフォン向けアプリを使って俳優とファンを結び付け、同時にファンの応援によって俳優の活躍する場を増やすマーケティングの仕組みを設ける。ファンにも俳優にも、その俳優に出演してもらう映画や舞台を制作する側にも、仕組みを提供する側にもメリットをもたらすと考えている。

ユーザーの“応援”が増えると映画などを実際に制作

 まずフォッグが、自社からリリース済みのスマートフォン向け俳優応援アプリ「CHEERZ(チアーズ)for MEN」をリニューアルし、12月7日から本格的に展開し始める。このアプリをプラットフォームと見立て、主にマーベラスが中堅芸能プロダクションと交渉して集めてきた60~80人の俳優が“参加”する。
 
 俳優は、自分の日常の生活シーンをスマートフォンなどで撮影した「自撮り写真」をコメント付きでアプリ上に投稿。加えて、アプリ運営側が、俳優への独自インタビューや対談記事などを載せたり、俳優が出演する舞台のチケットを先行販売したりする。このアプリでしか得られないコンテンツを充実させることで、俳優に興味のある主に10~30代の女性ユーザーを集め、アプリをダウンロードし、会員登録してもらう作戦だ。
 
 さらに、オリジナルのショートムービーやマーベラスが手掛ける舞台の制作、トークショーの開催といった「イベント」の予定もアプリ上で告知する。アプリをダウンロードしたユーザーは、アプリ上で告知されたイベントを実際に開催するため、自分が応援したい俳優の「CHEER(応援)」ボタンをアプリ上で押し、累計CHEER数を増やす。定められた期間中の累計CHEER数が一定の数に達したら、予定のイベントが実際に開催され、CHEER数の多かった俳優が、イベントに出演できるという仕組みだ。第1弾のイベントとして、映画「リアル鬼ごっこ」などを撮った山本浩貴監督によるオリジナルショートムービーの企画が予定されている。
 
 通常、ユーザーは無料でアプリを利用できるが、CHEERを押す回数が一定ラインを超えると、そのたびに課金される仕組み。この課金収入はプロジェクトの収入となる。今回のプロジェクトでは、「書籍の著者に支払う印税率を参考にして、収入の一定割合を、CHEERZ for MENに参加し、収入をもたらしてくれた俳優側に支払う」(松本氏)。このため、俳優側に人気向上や出演機会の拡大以外にも、参加するインセンティブが発生するのが特徴だ。

 アプリの登録ユーザー数は、事業の開始から1カ月後に約8000人、1年後に4万人強。登録ユーザーのうち0.7%が毎月5000円程度を支払うと見込んでいる。毎月の支払い金額は、フォッグが既に展開している女優応援アプリ「CHEERZ」の実績から試算した。計画通りにいけば、6カ月で単月黒字に転換すると踏んでいる。

 今後はオリジナルのショートムービーや舞台だけでなく、コミックやアニメなどとも連動させ、CHEERZ for MEN発の若手男優の活動機会を増やしていく考え。本業の音楽出版にとどまらず、ステージ制作など他のエンターテインメントビジネスに商機拡大を図っているテレビ朝日ミュージックがプロジェクトに加わったのも、そのため。来年春頃にアプリ上で大きなイベントを仕掛ける計画だ。