プレゼントキャンペーンといえば通常、応募した本人にプレゼントが当たる(かもしれない)企画だ。これが本人に当たらないことが分かっていたらどうだろう。「そんな企画が成立するはずがない」と思うかもしれない。ところが2016年秋、応募者本人にプレゼントが当たらないのに大いに盛り上がったキャンペーンがある。森永製菓が9月に実施した「フレフレ、部活。母校にinゼリー」キャンペーンだ。

母校への投票がOB・OGのSNSつながりを通じて広がった
母校への投票がOB・OGのSNSつながりを通じて広がった

 これは、部活動を頑張る母校の後輩たちへ先輩たちが投票することで、同社の栄養補給ゼリー飲料「ウイダーinゼリー エネルギー」を無料で“差し入れ”できるキャンペーンだ。投票専用サイトで全国約5000の高校の中から、応援したい高校の部活動を選択して投票をすると、10票以上の投票があった部活から抽選で500の部活動に同商品1ケース(36個入り)を無料で差し入れる。投票期間は2016年9月の1カ月間。当選確率は得票数が多くなるほどアップする仕組みだ。

 ウイダーシリーズは1994年発売のゼリー飲料のパイオニアで、年商300億円に迫る規模の人気商品だ。ただしロングセラー商品の宿命で、以前より購入層の年齢がやや高めに推移している。また発売20周年の2014年春に、パッケージをカロリー別の表示にしたリニューアルが失敗し、一時的に売り上げを落としたことがあった。ウイダーとの最初の接点は部活動をしていた高校時代でそれがその後の継続購入につながっているパターンが多いこともあり、人気の引き上げには10代後半へのアプローチが課題だった。

10代後半へアプローチするのが狙い

 企画を主導した同社健康事業本部マーケティング部マーケティンググループマネジャーの佐藤実氏は、「inゼリーは、部活動で保護者やOB・OGから差し入れとしてケース買いされることがよくある商品。部活動仲間は卒業後もSNSを通じてつながりがある。母校の後輩を応援したいという先輩の思いが共有されることで力になると考えた」と企画趣旨について説明する。企画の告知には、ウイダーブランドのFacebookページや、LINEの同社公式アカウントからの投稿を活用した。

 その狙いは当たった。自分には当たらない差し入れキャンペーンながら、総投票数は52万4981票。全国5112校のうち、1票以上投票のあった高校は4617校で全体の93.2%に達し、抽選対象となる10票以上の得票のあった部活の数は1万1988件に上った。ちなみに得票が多かった部活トップは、鎌倉学園高校(神奈川県)剣道部で4703票。以下、都立青山高校水泳部3736票、四日市中央工業(三重県)サッカー部2113票と続き、16部活が1000票を超えた。部活別に集計すると、1位の野球部の次に吹奏楽部が入り、3位がサッカー部だった。

 SNS上でウイダーの露出が高まったことで、「9月の売れ行きは順調だった。来年以降も定番のキャンペーンにしていきたい」と佐藤氏は語る。自分が当選するかどうかはさておき、“応援”という気持ちを引き出す企画は、AKB48の選抜総選挙やそれに便乗した大手食品メーカー主催の人気投票企画がそうであるように、盛り上がる要素を持っているようだ。

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