テレビ東京グループのテレビ東京コミュニケーションズは、データ放送とスマートフォンを活用して、地上波番組のリアルタイム視聴率の引き上げを狙う仕組みを開発した。テレ東系列で10月7日から一部地域を除いて毎週金曜深夜に放送している番組「勇者ヨシヒコと導かれし七人」で、「データ放送×スマートフォン連動企画 ふりふり決戦!」と名付けて活用を始めている。

具体的な仕組みはこんな具合だ。視聴者は同番組を視聴しながらリモコンでデータ放送を表示し、画面に映るQRコードをスマホで読み込み特設サイトにアクセスする。そして番組の途中でデータ放送の画面に魔物が登場した際に、指示に従ってスマホを縦や横に振る。するとスマホのセンサーで動きを検知して、特設サイトに情報を送付する。「ふりふり決戦」への参加者の総ヒット数が一定数に達すると、魔物が退治されて画面から消えるという仕組みだ。参加回数が一定以上の視聴者には、抽選でプレゼントが当たる企画も実施している。
同社がこの仕組みを導入したのは、「リアルタイム視聴率の向上が、広告媒体としての価値につながる」(テレビ東京コミュニケーションズ システム・マーケティング本部の佐治裕一朗マネージャー)と考えているから。しかしこの番組は過去のシリーズでは「録画視聴の割合が高いと推測できた」(佐治氏)。そこで本施策の導入で、この番組を見たことがない“ライトユーザー”に訴求し、リアルタイム視聴率の向上を狙っている。
20~30代の女性が4割占める
まだリアルタイム視聴率が急上昇するなどの結果は出ていない。それでも「『ふりふり決戦!』の参加者が多い回のリアルタイム視聴率は、平均よりも高い」(システム・マーケティング本部マーケティングソリューション部の半田啓介部長)という。
また、第7話の終了時点では、リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率を足した「総合視聴率」のうち、リアルタイム視聴率の割合が高い傾向があり、一定の成果は出ているようだ。
この施策に参加する視聴者は、女性が男性の約2倍おり、20~30代の女性が全体の約4割を占める。前2シリーズは男性割合が多かったといい、本施策は「『勇者ヨシヒコ』にとってのライトユーザーである女性の取り込みに貢献している」と佐治氏は語る。
今後はスポーツ番組やバラエティー、アニメなどの番組でも、この仕組みを活用していく。また、他局への提供も積極的に考えていく。