2017年、「まとめ割」とアウトレット販売を組み合わせて成果を上げたのが、調味料大手のMizkanである。

 LOHACOでは20以上のブランドが、通常品の販売とは別に、旧製品などのアウトレット販売を専用コーナーで実施している。この専用コーナーは価格が安いだけに集客効果は抜群で、かつ新規顧客を平均40%も獲得できることから、Mizkanも、「ECサイトで調味料を販売していることをユーザーに広く知ってもらう」(営業本部営業統括部流通企画課の渡辺雅子氏)ため、アウトレット販売に取り組んできた。

Mizkanはアウトレット販売とまとめ割を組み合わせて実施
Mizkanはアウトレット販売とまとめ割を組み合わせて実施

 しかし、アウトレット品を買ったユーザーが通常品も併せて買う割合はこれまで1.7%にとどまり、アウトレット販売を契機にした通常品の売り上げ増は達成できていなかった。

 そこで2017年8月29日から1カ月間、まとめ割と組み合わせ、アウトレット商品を1品以上、指定の通常品を1品以上購入した場合、通常品の価格を10%割り引いた。組み合わせる通常品は、購買データから、アウトレットとして販売する「鍋つゆ」や「カンタン酢」と同時に購入されやすいものを複数並べた。

 すると、通常品を併せて買うユーザーの割合が、これまでの22倍に当たる38%に急増したのだ。しかも、直前の1カ月と比べると、まとめ割の対象となった通常品の売り上げは、約2倍に増加した。それまでの通常品の売り上げを損なうことなく、アウトレット販売を契機に通常品の売り上げを増やせることを、データで証明した格好だ。

 今後は、「当初の想定より高額な通常品がアウトレット品と一緒に買われた」( 渡辺氏)という傾向を、LOHACOが持つ購買データやレビューデータの分析で裏付け、どんな組み合わせがより通常品の売り上げ増につながるかを探る考えだ。

 LOHACOでユーザーをターゲティングするサンプリングをうまく活用するのが、エフティ資生堂である。

 2016年、同社はシャンプーやコンディショナーのブランド「マシェリ」を20年ぶりに全面リニューアルし、ユーザーの若返りを図った。そこでLOHACOと協力し、サンプリングを起点に、投稿キャンペーンやLOHACOサイトへの広告出稿を組み合わせたマシェリ訴求のプロモーションを計画した。

 まず新商品発売を1週間後に控えた2016年3月11日、シャンプー、コンディショナーなどをセットにしたサンプリング商品の配布を開始した。

サンプリングを起点に活用

「40~50代女性を中心とするリニューアル前のマシェリのユーザー」「メイソンジャー(ガラス製口広瓶)を愛用するようなライフスタイルの女性」「アロマディフューザーなど香り系商品を好んで買う女性」という3つのセグメントを、LOHACOの購買データに基づき設定。このセグメントに属するユーザーがLOHACOサイトを訪れた際、サンプル商品がある旨を示し、希望者に1万セットを、割引クーポン付きで無料で配布した。

「マシェリ」では投稿頻度の多い単語を広告コピーに展開
「マシェリ」では投稿頻度の多い単語を広告コピーに展開

 すると、サンプル対象者が新商品を実際にLOHACOで買うリピート率が、通常の2~4%を上回る10%程度になった。反応がよかったのは、3セグメントのうち、リニューアル前のユーザーと香り系商品を好む層。そこで、ユーザーの若返りという狙いに合致する香り系商品を好む層にターゲティングし、この層がLOHACOを訪れた際にマシェリ新商品の広告を表示するようにした。

 結果、「発売1カ月後のLOHACOのヘアケア商品の市場シェアは、目標5%の2倍以上の12%になった」(パーソナルケア流通企画部市場開発グループの矢嶌俊久マネージャー)。

 併せて発売1カ月後からは、商品を使った感想をレビューしてくれたらTポイント100ポイントを進呈するという投稿キャンペーンを展開。投稿された内容を分析し、「上品な香り」「ふんわりが持続」といった登場頻度の多い単語を抽出した。

 そして2016年6月、LOHACOサイトで言葉の書かれたバブルがふわふわ動くというマシェリの広告を全面展開する際、抽出した単語をバブル内の広告コピーに用いたのだ。これらのバブルは今でもサイトで確認できる。「LOHACOのデータを使ったサンプリングを起点にプロモーションを展開した結果、新しいマシェリを効率的にターゲット層に浸透させられた」と矢嶌氏は語る。

 そのエフティ資生堂は、2017年もLOHACOでサンプリングを展開する。制汗消臭剤「Agデオ24」フットシリーズの新商品発売に当たって、LOHACOが11月から新しく導入する「インシップ(同梱)サンプリング」を利用するのだ。

 これは、サンプル商品に興味を示しそうなユーザーをLOHACOの購買データなどから抽出。そのユーザーがサンプル商品と関連性の高い商品をLOHACOで購入した際、配送する箱の中に、サンプル商品と、新商品を購入した場合に使える割引クーポンを同梱するというものだ。

 LOHACOの成松氏はインシップサンプリングを開始する狙いをこう語る。「これまではサイト上でサンプル商品を申し込んでから手元に届くまで時間がかかり、ユーザーの熱が冷める可能性があった。関連性の高い商品に同梱すれば、ユーザーは驚きとともにサンプル商品を使おうという気になりやすいと考えた」。

 エフティ資生堂はストッキングやデオドラント商品の購入者をセグメントし、1000程度のサンプル商品を無料で2017年11月25日から配布する予定。「今後もLOHACOと協力し、デジタル施策を展開する」(矢嶌氏)という。