

もともとシェーキーズは、店頭やWebサイト経由で会員登録した顧客に、メールやハガキでクーポンを送付。その他に、店頭で紙の会員カードを配布し、来店してスタンプが貯まればクーポンも発行していた。
しかし、このやり方では、「来店頻度の高い客にクーポンなどを出して、顧客ロイヤルティーを高めたい」(ビートレンド企画本部の宮下省吾本部長)と考えても、どんな客がどのくらいの頻度で来店したかというデータは残らない。そこで、メールマーケティングシステムを開発したビートレンドに、来店客を検知できるシステムの開発を依頼したのだ。
来店客の検知は、GPS(全地球測位システム)やビーコンを使い、スマホを持った顧客が店に入ったところを確認する手法が一般的だ。しかし、GPSはスマホの機種によって精度が異なり、ビーコンを用いる場合も顧客がBluetoothをONにしていなければ検知できない。
INFOSOUNDは、顧客がアプリをダウンロードし、立ち上げていると、専用スピーカーから流れる音波をスマホがマイクで受信。後はビーコンと同じく、サーバーとの連係で情報を得られる。導入費用はビーコンより割高だが精度が高く、かつ幅広いユーザーを対象にできるとして、シェーキーズは飲食店チェーン大手の公式アプリとして初めて、今回、INFOSOUNDを採用した。
来店5回で5000ポイント付与
アプリをダウンロードした顧客が来店すると、INFOSOUNDによって来店スタンプがアプリに付与される。スタンプ5つで5000ポイントとなり、顧客はこのポイントをクーポンと交換できる。
その際、例えば4000ポイントなら400円、6000ポイントなら700円と、ポイントを貯めてから交換するほど得になるようにした。「あと少しポイントを貯めれば交換レートが上がる顧客にも、プッシュ配信でアプローチする」(宮下氏)ことを狙う。
シェーキーズが来店スタンプを重視するのには、もう1つ理由がある。「他の飲食チェーンと比べて団体客が利用する割合が多い」(宮下氏)。まとめ払いが多く、購買履歴を分析しても実際に支払った顧客1人についてしかデータが残らない。連れの顧客にアプローチするため、来店スタンプを使ってスマホにアプリをダウンロードさせ、プッシュ配信できる環境を整えたのである。
リリースして1カ月弱、顧客からの手応えはよいという。半年ほど検証した後、効果が確かめられれば、当初導入した11店舗以外のFC(フランチャイズチェーン)店にも、来店スタンプ機能の利用を広げていく腹づもりだ。