チャットbotやLINEを活用して消費者との相談機会を増やし、成約・購入へとつなげる試みが増えている。

住宅ローン借り換えコンサルティングサービスを展開するフィンテックベンチャー企業のMFS(東京都千代田区)は11月7日、同社が提供する住宅ローン借り換えアプリ「モゲチェック」に住宅ローン相談ができるチャットbot機能を追加した。
モゲチェックをダウンロードしたユーザーは、まず契約中の住宅ローン情報を入力。続いてチャットbotが年齢、居住地域、年収、就業形態、勤続年数の5項目を聞き出す。この情報を基に、全国140金融機関、1200本以上の住宅ローンの中から最適な借換先と借り換えメリット額の目安を提示する。ユーザーの信用力に応じたプランを諸費用込みの総支払額で提示するため、正味のメリットを把握しやすい。
相談体制の充実で店舗来訪者10倍を目指す
ユーザーからのよくある質問にも、チャットbotが自動応答する。チャットbotで対応できない個別具体的な質問内容に対しては、「類似する質問を質問集から探す」「当社の住宅ローンコンサルタントを呼び出す」の選択肢を提示。後者を選択したユーザーには有人対応のチャットに切り替える。
より具体的なアドバイスや申し込みは同社が東京・京橋と新宿に開設している実店舗「モゲチェック・プラザ」で行い、借り換えができた場合、成功報酬として21万6000円を受け取る。
同社代表取締役CEO(最高経営責任者)の中山田明氏は、「毎月約1000人がモゲチェックをダウンロードし、実際に借り換えメリットが出るのは500人超。うち10人がプラザを訪れる。チャットbotの導入でより手軽に操作でき、多くの相談を受けられる体制にすることで、プラザ来訪者を現状の10倍に増やしたい」と意気込む。

一方、ロート製薬は10月24日、皮膚用の軟膏ブランド「メンソレータム」のLINE公式アカウントを開設。「メンソレータム お肌の相談室」で肌の悩み、症状について平日9時から18時、LINEで相談を受け付けている。サイバー・バズ(東京都渋谷区)が運営するオンライン医療Q&Aサービス「Doctors Me」の協力を得て皮膚科医が回答する。ロート製薬メディア&プロモーション部メディア広告Gリーダーの梅村健氏は、「相談から30分以内の回答を目標にしている」と語る。
LINE相談はあくまで医療・健康情報提供サービスで、診療行為ではないため、「メンソレータムを塗っておきましょう」といった回答はできない。それでも、ネット上で玉石混交の健康情報が飛び交う中、皮膚科医が回答する窓口をメンソレータムブランドで提供することで、同ブランドの想起と安心感の向上を目指す。
メンソレータムブランドには、大人のニキビ用の「アクネス25」、二の腕のぷつぷつ対策の「サラプロ」など部位・症状別に多種多様な製品がある。それぞれに広告宣伝費を十分にかけることは難しいため、LINEアカウントを通じてブランドサイト来訪機会を作り、各種製品の認知を高める狙いもある。今後、相談内容を分析し、特定部位・症状の質問者にそれに見合う商品の広告も配信することで、購入につながる道筋を作りたい考えだ。