一般にオムニチャネルというと、実店舗とECの複数チャネルで利用客が購入でき、双方で購入した客を同一人物と認識してポイントを付与、ECで注文した商品の実店舗受け取り、あるいは取り置きができるといったシステム、仕組みづくりを指すことが多い。

 これを一通り整えた商業施設運営のパルコは、さらに一歩進んだオムニチャネルを志向している。店頭接客とWeb接客を一体化した「接客のオムニチャネル化」だ。来店した顧客とコミュニケーションする店頭接客に加えて、ブログによる情報発信で来店・EC購入に導くWeb接客のスキルを向上させるため、ショップスタッフの育成強化に取り組み始めた。

 パルコは、各テナントのショップ店員が情報発信する「ショップブログ」を2013年に開始し、翌2014年11月にブログで紹介した商品の購入・取り置きができるECサイト「カエルパルコ」を主要8店舗を対象に開設。同年11月に両サービスを手軽に閲覧できるスマホアプリ「POCKET PARCO」を提供している。カエルパルコは今春、国内全19店舗で対応し、参加ショップ数は100を超える。参加ショップの中には、月間売り上げに占めるカエルパルコ経由の割合が20%に達するショップもあるという。

接客スキル、事例を共有

ブログ接客の巧拙が売り上げを左右
ブログ接客の巧拙が売り上げを左右

 10月7日、仙台パルコ5階のアパレルショップ「ロデオクラウンズ ワイドボウル」の店員が、ショップブログでPコートが数量限定で入荷したことを投稿すると、すぐさまカエルパルコで予約が入り完売した。同ショップは自前のInstagramアカウントからも投稿して集客していた。日頃こまめな情報発信とフレンドリー対応でファンが多い店員は、インフルエンサーとして投稿内容が影響力を持つ。

 パルコのオムニチャネル化を推進してきた同社WEBマーケティング部部長の林直孝氏は、「売り上げ好調なショップをみると、やはり総じてWeb接客に長けている」と語る。そこで今までバラバラに行ってきた店頭リアル接客とWeb接客技術の教育を、今年から一括で一貫性を持って教育、指導することにした。9月2日には、接客力向上を支援するショップ店員向けサイト「SUTEKI LABO(ステキラボ)」を開設。店頭およびWeb接客の参考事例を紹介し、蓄積、共有している。

 ステキラボのメインコンテンツの一つが、同社が開催している「接客ロールプレイングコンテスト」の入賞者の接客動画だ。2011年から毎年各店舗でショップ対抗形式で実施しているが、今年はその1回戦にブログ審査を追加した。あらかじめ出したお題に関するブログ記事を事前に提出して採点し、実技の点数に加点する。「この加点幅が大きかった店舗は、リアル接客もうまく、入賞するケースが目立った」(林部長)。

 店舗や商品ジャンルにもよるが、ブログ投稿のクリップ数が50を超えると、来店、購入が加速するという。ブログの巧拙と売り上げの相関が店舗スタッフにも意識されるにつれ、「写真のクオリティもレベルアップしてきた」(林部長)。ブログ接客における“カリスマ店員”のスキルを共有することで、パルコ独自のオムニチャネル接客を進化させていく考えだ。