不動産情報サイトのCHINTAI(東京都港区)は、若年層の男性をターゲットとしたブランド訴求を目指して、ネット動画広告を活用した。また、動画広告の効果を確かめるために、広告出稿期間の途中段階で広告の認知度調査を実施。ターゲット層の18~34歳の男性の認知度は、広告配信前の事前調査で調べたテレビCMの認知度と比較して14%上昇していた。

 この結果から、十分効果があると判断。さらにアクセルを踏み、35歳以上の男性もターゲットに加えて出稿量を増加。広告に接触した消費者は、非接触者と比べて、ブランド名で検索をする人数も2.5倍になるなど、態度変容でも成果につながった。

 これまでCHINTAIが動画広告を積極的に活用していたかというと、そういうわけでもなかった。その理由をメディアディビジョンの宮川大輔部長は、「以前は成果を図る指標が十分ではなかったからだ」と説明する。これまで、動画広告の指標として主流だった、再生回数や再生完了率だけでは「事業に貢献しているかどうかは分からなかった」(宮川氏)。そのため、投資のアクセルを踏みづらかった。

 それがネット動画広告と調査サービスを組み合わせることで、ネット動画広告のブランド認知度調査を実施したり、動画広告を閲覧した消費者にリターゲティング広告を配信して成約に結びつけたりできるなど、活用の幅が広がっている。CHINTAIもこうした背景から、より効果的な活用法を模索し始めた。

検索行動にもつながる

CHINTAIのYouTubeチャンネル
CHINTAIのYouTubeチャンネル

 そうした中、テレビCMでアプローチしきれていない層にブランドを訴求する上で、動画広告を活用することを決めた。対象のターゲット層に絞って広告を配信できるネット広告の強みを生かしつつ、その効果もしっかりと検証できると踏んだからだ。

 CHINTAIは繁忙期に合わせてテレビCMを実施している。1月には歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんを起用したテレビCMを放送した。だがそのテレビCMは、女性の反応は非常に高かった一方、男性からの広告の認知度は十分得られていなかった。そこで、特に反応が低かった18~34歳の男性をターゲットに動画投稿共有サービス「YouTube」に動画広告を配信した。

 また、動画広告の配信期間は約1カ月を想定していたが、成果につなげる確度を高めるため、配信をしながら同時並行で、広告を閲覧した人に対する認知度調査をYouTube上で実施した。その結果、先述の通り途中経過段階で広告認知度に大きな向上が見られた。そこで、さらに35歳以上もターゲットとして広告配信を継続した。

 最終的な成果は、ブランド認知度の上昇率と、検索行動につながったかどうかの態度変容の2つを指標として、効果測定の分析を実施した。その結果、前者はターゲット層で20%向上、後者は広告の非接触者と比較して、「Google」で検索行動をした人の数が2.5倍に増えた。こうした数値から、「動画広告は十分な成果を得られた」と宮川氏は評価する。

 今後はアトリビューション分析にも取り組む。動画広告は直接の成約は見込みにくいが、閲覧をきっかけに検索行動につながっていることは実証された。その後、最終的な成約への貢献度を算出できれば、動画広告の価値がさらに証明できる。そうして、動画広告の可能性を探っていく考えだ。

この記事をいいね!する