メディア露出を高めるために、そしてその露出を売り上げにつなげていくために、企業側にはどんな工夫の余地があるのか。主にマクドナルドの取り組みを例に挙げつつ、他業種の企業にも通じる4つのヒントとしてまとめたい。

露出力を高める4つのヒント

 1つ目は、商品名やキャンペーンなどの企画名を短くすること。商品の魅力を商品名で伝えようとすると、つい名前が長くなる。その場合、ニュース記事にはなったとしても、ユーザーに商品名を挙げての投稿、拡散を期待することは難しい。

①商品名・企画名は短く。ヤフトピの記事見出し13文字を超えるようなバーガー名をやめ、漢字を使った短い名称に切り替え中
①商品名・企画名は短く。ヤフトピの記事見出し13文字を超えるようなバーガー名をやめ、漢字を使った短い名称に切り替え中

 またYahoo!ニュースやLINE NEWSなどニュースポータルのトピックス欄は、見出しが13.5文字までという制約がある。「ハワイアンバーベキューポーク」ではそれだけで14文字使ってしまう。そこを意識し始めたここ1年あまりのマクドナルドは、「超グラコロ」「必勝バーガー」「マックの裏メニュー」など、コンパクトなネーミングを徹底している。こうすることで、ニュース掲載のその先の目標であるトピックス掲載の可能性を高め、「裏メニュー注文した」などキャンペーン名に言及したツイートを増やしてもいる。

 2つ目は、ネット発の自然発生的な企画に主催者として取り組んでみること。

②ネット発の企画をヒントにキャンペーンを展開。「マクド」エリアは定番ネタ
②ネット発の企画をヒントにキャンペーンを展開。「マクド」エリアは定番ネタ

 「マックかマクドか」の愛称対決は、「関西のどの範囲まで“マクド”呼称が定着しているのか」を探るネット掲示板の投稿が以前から繰り返されてきたことに乗っかった企画である。何も仕掛けなくても勝手に投稿が盛り上がるそのエネルギーを、企画の盛り上がりに生かす考え方だ。方言の話題や、駅のエスカレーターでどちら側に立つかなどのテーマと同様、盛り上がる題材をキャンペーンに落とし込むことで、ニュース化、話題化を目指す。

 良品計画も、無印良品のペン愛用者が、描いたイラストをInstagram上に「#mujipen」のハッシュタグ付きで公開する動きがあることを察知して、「MUJI PEN ART CONTEST」を昨夏開催している。28カ国の無印ペンユーザーから3500件を超える応募があったという。こうした企画を打ち立てるには、自社の何がどう話題になっているのか、ネット動向を把握する必要がある。

③対決型の構図にする ④リリースから発売までの話題量(プレバズ)を増やす。プレバズ量と初動売り上げは比例する
③対決型の構図にする ④リリースから発売までの話題量(プレバズ)を増やす。プレバズ量と初動売り上げは比例する

 3つ目は、対決型の構図をつくること。既存定番商品の販促企画である「マクドナルド総選挙」は、各バーガーが公約を宣言して戦うという対決スタイルを取ることで、俄然ニュース性が高まった。ダブルチーズバーガーが1位になったことを大手メディアもこぞって報じ、公約である「トリプルチーズバーガー」としての販売がSNSでバズワード化。想定を大きく上回る売り上げをもたらした。

 2と3の要素を組み合わせた例としては、明治のチョコレート菓子「きのこの山」「たけのこの里」の対決キャンペーンがある。両商品にはそれぞれに熱烈なファンが付いていることで知られ、互いに負けたくないファン心理がロングセラーの原動力の1つになっている。2001年、2009年に総選挙型のキャンペーンを実施しており、対決スタイルの元祖ともいえる存在だ。

"プレバズ"量で出足の売り上げが決まる

 4つ目は、リリース配信(情報解禁)から発売開始までの話題量を増やすこと。

 リリースを配信して無事いくつかのニュースメディアで記事化され、ポータルやニュースアプリにも転載されたからといって、そこで仕事は終わりではない。そうしている間にも次々と魅力的な商品が発売されるとのニュースが流れて、自社ニュースを拡散してくれたユーザーが、次の日には競合他社商品に目移りしている可能性がある。そこで取り組むべきは、発売までの場をつなぐ、二の矢、三の矢の用意である。

 マクドナルドの期間限定人気メニュー「チキンタツタ」は今年、対決型の要素を取り入れて、タルタルソースを取り入れた「チキンタルタ」をライバルとして登場させた。

 このリリースに当たって同社は、まずリリース前日に「チキンタ〇タがやってくる」というティザークイズを配信し、「今年もタツタの季節が来たか」と思わせたところでタルタを登場させ、サプライズを与えた。そして発売までの数日間、Twitterでリツイートするとマックカードが当たる「タ〇タルーレット」キャンペーンを展開。東京のタバタ(田端)駅前店で先行販売するなど、発売に向けて話題が盛り上がるように仕掛けていった。

 発売前1週間の記事露出量やSNSでの盛り上がりなど、いわゆる「プレバズ」の量が、発売初週売り上げと相関が強いという。これは映画などエンタテインメント産業でも同様の傾向がある。

ニュースリリースは出してからが勝負
ニュースリリースは出してからが勝負

 ニュースリリースの書き方なる教科書的な書籍に倣えば、一通りの書式と作法は習得できるだろう。だが配信したリリースから記事掲載を増やすには、そして売り上げにつなげていくには、その記事はどのようにユーザーの目に映るか、リツイートや参加したくなる要素があるかなどを厳しくチェック。書きっぱなしでは終わらせずに事後に検証を重ね、その結果を踏まえて、さらに知恵を絞っていく必要がある。