自社や自社商品に関連したリリースを、メディアにニュースとして取り上げさせるにはどうすればよいか。ファストフード業界を例にメディア露出力を測り、ヒントを探った。

 「間もなく発売する新商品について、ニュースリリースを配信する→たくさんのメディアに取り上げられる→多くの人の目に留まる→一気に認知される→クチコミでも話題になる→出足から売れ行き好調、引き合い多数、という具合にことが進めばいいのだけれど」──。

 新商品・サービスのリリースを前にした当事者は大抵、業種を問わずこんな希望と不安に包まれている。以前であれば、ニュースの流通を主導するのは大手マスメディアだったため、大手紙の業界担当記者とのパイプが重要だった。こうしたメディア・リレーションの重要性は今も変わらないが、一般消費者が新商品・サービスについて知る情報ルートとして、Webニュースメディアの存在が現在、飛躍的に大きくなっている。

 大手紙の場合、毎年恒例のシーズン定番商品のように、これといった変化がないものは、2年目、3年目となると記事になりづらい。その点、紙幅を考慮する必要がないWebニュースメディアは、仮にニュースネタに新規性が乏しくても、主読者層と親和性の高い商品・サービスであれば、掲載の可能性は十分にある。企業にとってはありがたく、うまく付き合いたい存在だ。

メディア露出力ランキング<ファストフード編>
メディア露出力ランキング<ファストフード編>

 ではどうすれば自社が、自社商品が、ニュース記事になりやすいのか? メディア側で仕事をしている人間でも、なかなか回答に窮する質問だ。そこで、実際によく記事になっている企業、メディア露出の高い企業を調べることで、どうしたら「メディア露出力」が高められるのか。また単に記事化されただけでなく、広く認知され、売り上げへとつなげていくことができるのかを検証する。簡易ではあるが、そのための調査を試みたのが本特集である。

 調査対象には、各種Webニュースメディアで比較的多く記事を目にするファストフード業界を選んだ。結果を先に述べると、メディア露出力のトップに立ったのは、マクドナルド、次いでスターバックスコーヒーだった。以下、調査の手法、結果、そこから学び取れることを、順を追って解説する。

国内500店舗以上を調査対象に
国内500店舗以上を調査対象に

 まず調査対象企業・ブランドについて。ファストフード店のうち、牛丼チェーンは顧客層が男性に偏りがちである。そのため、顧客層の幅が広いバーガーチェーン、コーヒーチェーンを中心に、国内500店舗を超える規模で展開している大手チェーンをピックアップした。2900店のマクドナルドから671店のタリーズコーヒーまでで9社。ただし、サーティワンアイスクリームだけが他チェーンとやや毛色が異なるため、かつては実店舗を展開していたこともあるハーゲンダッツを比較材料として加え、計10社とした。

 メディア露出力を見るポイントとして、4つの要素に注目した。「発信力」「Web掲載力」「拡散力」、そして「メディア関係力」だ。

露出力を示す4つの要素に注目

 1つ目の発信力は、端的に言ってニュースリリースをコンスタントに出し続ける力である。企業広報は、自社の新商品・サービスやキャンペーン、プロモーション内容について広く周知するため、情報解禁のタイミングでニュースリリースを配信する。リリースの配信なくして記事化を望むのは難しい。特にWebニュースメディアは、リリース文面を要約したようなニュース記事を量産して即日掲載しているケースが目立つ。メディア露出機会を増やすには、まずニュースになる素材を提供することだ。本調査では発信力として、各社が自社サイトに掲示している2017年4~9月のニュースリリース本数をカウントし、指数化した。

「メディア露出力」の要素
「メディア露出力」の要素

 2つ目のWeb掲載力は、発信したリリースが、Webニュースメディアで取り上げられたか、いくつのメディアで記事化されたか、を見る。

 Webニュースには、オリジナルの記事を書いて掲載するサイトと、それらの記事を転載するポータルサイト、キュレーションメディアがある(一部メディアは両方の性格を持つ)。前者の代表は、IT系ニュースサイト「ITmedia」や、総合ニュースサイト「マイナビニュース」、女性向けエンタメ&ライフスタイルニュースサイト「モデルプレス」など。後者は「Yahoo!ニュース」「LINEニュース」のほか、「SmartNews」「グノシー」「antenna」などのニュースアプリも含まれる。

 本調査では調査期間に配信した新商品、キャンペーン情報の直近リリースから5本を選び、Webニュース記事になった本数を調べて指数化した。「Googleニュース」で検索し、ヒットした記事のうち、前者のオリジナル記事を対象とした。

 3つ目の拡散力は、ニュースを広める力である。企業は新商品やキャンペーンのニュースリリースを配信すると、自社のSNS公式アカウントでもそのリリースや商品情報ページなどのURLを張って、自社のファンであるフォロワーに向けて告知をする。まずファンの間でそれがどれだけ盛り上がるか。リツイートやシェアが多ければ、それだけニュースは広くリーチする。調査では、Web掲載力で調査した直近5本のリリースについて、公式Twitterアカウントで紹介した投稿のリツイート数を調べた。1つのリリースについて複数回投稿している場合は、リツイート数が最も多い投稿を選んだ。

 4つ目のメディア関係力は、どれだけ自社がマスメディアで言及されているかを示す指標だ。話題豊富な企業は、直接的な話題がないときでも何かと引き合いに出されて露出を得ている。ここでは、新聞記事データベースサービス「日経テレコン」で今年4~9月、全国紙5紙を対象に社名検索し、そのヒット件数を調べた。

 次回、4つの要素別に結果を見ていく。