「これほど成熟した市場(の商品)で、今回のような数字はそう簡単に出るものではない」。満足げに語るのは、カゴメ通販事業部販売企画グループの勝丸透氏だ。
それもそのはず。同社は2016年10月から通販飲料「つぶより野菜」のプロモーション施策としてレコメンドウィジェット(RW)型ネイティブ広告活用を始めた。施策は現在も継続中だが、評価指標として最も重視するCPO(注文獲得単価)が展開前の同時期に比べ約3割も改善したのだ。
つぶより野菜は発売開始が2014年と比較的新しい商品ながら、同社通販商品では売り上げトップ。そのCPOの良しあしは事業部全体の利益に影響する。それが3割も改善したのだから担当者として思わず笑みがこぼれるのも当然だろう。
そして、想定以上の結果になっているのはCPOの改善だけではない。
「できることは何でも試す」
つぶより野菜は1ケース(195g×30本)で7200円。定期お届けコースで毎月6000円という高価格帯の商品だ。そのプロモーションにおいては、「できることは何でも試す」(勝丸氏)という方針の下、リスティング広告、バナー広告、アフィリエイト広告、SNS広告などを展開。新聞広告、折込チラシなど、オフライン施策も実施している。そうした中、昨年新たに始めたのがRW型広告だった。当初は実験的な規模で始めたが、「結果が良さそうだったので今年1月から、代理店を増やすなどして、本格的に展開を始めた」(勝丸氏)。
RW型広告の場合、コンバージョンに影響するのは、おすすめ欄に表示する「クリエイティブ(写真)」「テキスト」、そして誘導先の「記事」という3つの要素となる。そこでカゴメは代理店のデジタルガレージに依頼し、1カ月に50種類以上もクリエイティブを作り分けるなどして試したところ、最も影響が大きいのは、「記事ではなく、テキストだとわかった」(勝丸氏)。例えば、CTR(クリック率)が高かったのは、「某メーカーのプレミアム野菜ジュースが旨すぎると話題」というものだったという。
こうして「当たり訴求」を探す中で、もう1つ発見があった。それは「RW型広告を実施していると明らかにバナー広告、リターゲティングなどの広告効率も改善すること」(勝丸氏)である。RW型広告で商品を認知した人が後にバナー広告などを見た際にクリックするきっかけになったり、商品名で検索するきっかけになったりしたのではないかと考えている。こうした間接効果に加え、新規客がお試し購入から定期購入へと移行する割合も2割ほど高まり、これもRW広告の効果の1つと見ている。
このように直接効果と間接効果とがともに高いことから、今後は他の通販商品のプロモーション施策でもRW型広告を展開。事業部全体の投資対効果を、さらに高めていきたい考えだ。