メールマガジンが読まれなくなったと言われて幾年月。昨年7月にラフォーレ原宿、今年3月にアルタと大型商業施設がメルマガを終了したのに続き、9月末には「ゼスプリ」ブランドのキウイフルーツを輸入販売するゼスプリ・インターナショナル・ジャパン(東京都港区)も、メルマガ「キウイレター」を休刊した。2009年1月創刊で12万人の読者を抱えていたのに、だ。

 同社マーケティング部長の猪股可奈子氏は、「開封率が一ケタに低迷し、投資効率が下がっていた」と説明する。これまでも刷新を重ねたが、実売への貢献が見えづらかったことが決断を後押しした。

 メルマガ休刊は、同社が若年~中年層の開拓を目的に今年からデジタルマーケティング強化を打ち出し、メディアを選別していく過程で決めたことの一つだ。キウイの2014年の家計消費額は前年比5.5%増の1060円と3年連続で増加しているが、一方で「若者の果物離れ」は顕著なだけに危機感を抱いている。キウイの消費も60代以上が半分近くを占めていて“高齢化”が進んでいる。

 これまでゼスプリのプロモーションは、プレゼントキャンペーン実施期の春と秋のテレビCM放映が定番だった。その取り組みは残し、今年は20~40代にキウイの栄養価を訴求するデジタル施策を2つ加えた。

20~40代の母親を主対象

 その一つが、6月24日公開のWebサイト上で展開する面白デジタルコンテンツ「ありえない日本昔話“桃?太郎”」。おばあさんが川へ洗濯に行くと桃とキウイが流れてきて、キウイを選ぶと物語が進み、キウイ太郎がキウイを独り占めする鬼を仲間と退治に行くインタラクティブ型コンテンツだ。小さい子どもがいる20~40代の母親を主対象に、子どもと桃太郎もどきの物語を楽しみながら「スーパーフルーツ」とも称されるキウイの栄養価が学べる内容に仕上げた。

メルマガは終了。エクササイズとレシピを楽しみながらキャンペーン応募できるアプリでコミュニケーションを継続
メルマガは終了。エクササイズとレシピを楽しみながらキャンペーン応募できるアプリでコミュニケーションを継続
メルマガは終了。エクササイズとレシピを楽しみながらキャンペーン応募できるアプリでコミュニケーションを継続

 もう一つは、ハガキにシールを貼って投函するプレゼントキャンペーンをアプリで応募できるようにしたことだ。キウイの日である9月1日にスマホアプリ「ゼスプリキウイ14日間実感トレーニングアプリ kiwiトレ」を公開。アプリを起動してキウイに付いているゼスプリのロゴシールをスマホカメラで撮影したユーザーに、日替わりのエクササイズ、レシピ、お役立ち情報を表示する。アプリの案内は、スーパーの売り場などで年間6000回行う試食販売の場でチラシを渡すことで認知を広めている。翌日にならないと次へ進めない仕様で最低でもクリアには2週間を要するが、9月下旬でアプリ経由の応募が既に数十人に上り、継続を仕組み化した効果が表れている。

 もっとも輸入商品ゆえシールにシリアルナンバーを印字できず、現状はシールの使い回し撮影ができてしまう欠点がある。この改良に取り組みつつ、さらにデジタルシフトを進めていく考えだ。

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