結婚式場のクチコミ情報サービスの「みんなのウェディング」は、6月にコンテンツマーケティングの戦略を大幅に転換した。新たにコンテンツマーケティングの専門部隊としてメディア編成部を設置。男性中心だった組織体制から、女性社員を含む体制へと変更した。また、これまでは、月に100本以上の結婚に関する記事を掲載していたが、掲載本数を半減。量より質を重視した記事作りを目指すように方針転換した。
みんなのウェディングでは、結婚式に関するノウハウをまとめた「結婚塾」、恋愛などに関する「コラム」や用語解説など様々なコンテンツマーケティングに取り組んできた。広く恋愛から結婚にまつわるコンテンツを量産することで、検索サイトや記事の拡散によるソーシャルメディアからの集客などによって、月間ユニークユーザー(UU)は300万、月間ページビュー(PV)は1200万に達している。

こうしてコンテンツマーケティングを展開した結果、みんなのウェディングのサイト上には、5000本もの記事が掲載されている。一方で、記事の本数が増えたことで、「どうしても記事の内容が似通ってしまう」(サービス開発本部メディア編成部の千葉祐大部長)という課題に直面した。そこで、「既存のターゲット層に対しては、既に十分な情報を提供できている」(千葉氏)と考え、これまで取り込めていなかった層もターゲットとした記事作りを始めた。
挙式を断念する層にもアプローチ
みんなのウェディングがこれまで取り込めていなかった顧客層は、そもそも結婚式を挙げない層だ。カップルが結婚式を挙げない理由は大きく3つあるという。まず、経済的な理由。次に結婚前に子供ができたカップルは、挙式を断念する傾向にあるという。3つ目が、そもそもそういった式典自体を好まないという場合だ。
このうち、前者の2つは顧客として取り込める可能性があるという。「結婚式を挙げるには高額な費用がかかると思われがちだが、費用を抑える方法はある。また、赤ちゃんや子供と一緒に挙式できるプランも増えている。ただ、そうした情報はあまり知られていない」(千葉氏)。そこで、こうした情報をきちんとコンテンツとして掲載し、啓蒙活動をすることで、これまで挙式を諦めていた層の取り込みを狙う。
例えば、同社では子供を持つ夫婦向けの結婚情報を「みんなのファミリーウェディング」という別ブランドで展開している。こうしたサイトにあるコンテンツも今後、1つのサイトに統合しながら、総合的に結婚式に関する情報が得られるサイトを目指すという。
また、質の向上では既存のコンテンツの改善にも取り組んでいる。各コンテンツで想定している検索キーワードで順位が下がった記事については、想定キーワードがきちんとタイトルなどに記載されているか精査。8月には250本を改善するなど、地道な作業を繰り返している。こうした結果、「8月中旬からPVやUUが前年同月比で上昇」(千葉氏)するなど、効果にもつながり始めている。今後は「ハロウィン ウェディング」など、季節に合わせたコンテンツも制作して、一層コンテンツマーケティングを強化していく方針だ。