スマートフォンでリアルタイム動画を配信できるサービス「ツイキャス」の利用が、若年層の間で広がっている。ツイキャスは4月に登録者数が1000万人を突破した。このサービスをいち早く、マーケティングに取り入れたのが楽天だ。同社は5月にEC(電子商取引)モール「楽天市場」のセール企画「楽天スーパーセール」に合わせて、ツイキャスで商品などを紹介する生放送を配信。視聴者数は目標の2.3倍の約23万人に達した。また、配信期間にツイキャス経由の楽天市場の来訪者に占める新規顧客の含有率は、検索連動型広告の1.5倍になるなど、新規顧客の開拓に貢献した。

 楽天がツイキャスをマーケティングに活用することを決めた理由は利用者層にある。グループマーケティング部マーケティングソリューション室ソーシャルマーケティンググループの田島由美子マネージャーは、「ツイキャスの利用者層は24歳以下が55%を占める。さらに、女性が60%を占めるなど特異な利用者層を抱えている。若年層とのタッチポイントの拡大にはうってつけと考えた」と狙いを語る。また、一般消費者による配信の中でも、頻繁にコメントのやり取りがされており、サービスが活性化されていることも魅力的に感じられたという。

 現時点では他社のマーケティング活用事例が少なかったことも活用を後押しした。ソーシャルメディアをはじめとする新興メディアの場合、先行して利用した企業は利用者の目に目新しく映りやすく、認知が広がりやすい。また、有効活用するための知見の蓄積も期待できる。楽天では3月から楽天市場内でテレビショッピング風の動画を放送するなど、動画活用の機運も高まっていた。こうした背景もあり、セールに合わせてツイキャスでも番組を放送することにした。

出演者と視聴者の対話を重視

 番組は5月30日に3時間45分、31日に2時間45分間にわたって放送した。通常ツイキャスは30分ごとに番組を延長する必要があるが、ツイキャス運営元のモイ(東京都千代田区)の協力を得ることで、長時間配信を可能にした。

楽天はスーパーセールに「ツイキャス」を活用した
楽天はスーパーセールに「ツイキャス」を活用した

 番組内容は、YouTubeに投稿した動画で人気を集めるユーチューバーのHIKAKINさんや、はじめしゃちょーさんなどが選んだスーパーセールの対象商品を、番組内で紹介してもらうもの。「それぞれのキャラクターが生きるように、自由に紹介したい商品を選んでもらった」(田島氏)。

 番組内では視聴者から出演者に対する質問を募集するなど、対話を重視した。ツイキャスでは番組の視聴者からのコメントを機に対話が生まれ、番組が盛り上がる。また、コメントはTwitterと連携して投稿できるため、対話が盛り上がるほどTwitter上にも番組の情報が拡散して、さらなる視聴者の獲得が期待できる。さらに、視聴者数が合計5万人に達すると、出演者のサイン入り商品がプレゼントされるといった企画も実施して番組を盛り上げた。

 ユーチューバーの情報拡散力も番組視聴者獲得に大きく貢献した。例えば、はじめしゃちょーさんはTwitterで134万超のフォロワーを抱えている。そのフォロワーに対して、番組を告知してもらった。こうした結果、目標を大きく上回る延べ約23万人の視聴者を獲得した。

 とはいえ課題もある。ツイキャスは他サイトに誘導する仕組みがないため、今回はその都度、コメント欄に楽天市場のURLを投稿することで、サイトに誘導した。しかし、コメントが相次いで投稿されると、あっという間にURLを記したコメントは流れてしまう。今後、より有効な誘導手段を模索しながら、活用を進めたい考えだ。