プレスリリース配信サービス大手のPR TIMESが、自社サイトを消費者向けのニュースメディアに育成すべく、本腰を入れ始めた。企業発のプレスリリースは自社サイトにも掲載しているが、「当社のサイトに立ち寄り、リリースをニュースの1次ソースとして閲覧する一般消費者が増えてきた」(PR TIMES執行役員の三島映拓氏)ことが背景にある。

具体的には、リリース自体のコンテンツとしての魅力を引き上げることができる基盤を整え、その利用を、リリースを発信する顧客企業に働きかける。9月28日に自社サイトをリニューアルし、サイトに掲載する各社のリリース上で、GIFアニメーションの再生やGoogleストリートビューの閲覧ができるようにした。
既にサイトに導入している「360度パノラマビューコンテンツ」や、ピクスタ(東京都渋谷区)が提供するイメージ画像の無料利用サービスなどと併せ、「リリースそのものをリッチコンテンツ化し、消費者から見た当社サイトの魅力を高めていく」(三島氏)方針だ。
9月の月間アクセス数は738万PV
実際、PR TIMESのサイトは9月にサービス開始以来初めて700万PV(ページビュー)を突破して738万PV(前年同月比138%)に達した。7月の652万PV(同126%)、8月の666万PV(同123%)に続き、3カ月連続で最高記録を更新中。リリースのリッチコンテンツ化が進めば、この勢いはさらに増すと踏んでいる。
また、「PR TIMESのサイトを訪問する消費者の約10%は、ソーシャルメディアから流入している」(三島氏)という。PR TIMESの公式ソーシャルメディアのフォロワー数は、Facebookで約11万3300、Twitterで約3万8500だが、さらにフォロワー数を増やし、サイトへの流入を増やす目論見だ。7月にLINE@アカウントも開設し、早ければ10月にも、「あるニュースメディアでもアカウントを開設し、自社サイトへ流入する経路を強化する」(三島氏)。
もっとも課題がなくはない。企業発のニュースリリースの集合体なので、PR TIMESのサイトには批判的なニュースが皆無。この点が、ニュースメディアの激しい競争の中で不利になる可能性がある。これに対して三島氏は、「別のメディアでニュースを見た消費者が、PR TIMES上にある公式リリースで内容を確認する、といった閲覧のされ方が多いため、他のニュースメディアとはすみ分けできる」と語る。
今回のサイトリニューアルでは、企業向けの機能向上策、例えば、企業がリリースをPRTIMESの管理画面に登録するだけで、リリース配信やPR TIMESのサイトへの掲示に加え、配信主のニュースリリースページにも同内容がアップされるという「連携機能」なども加えた。今後はこれらの新機能を武器に、リリースのリッチコンテンツ化だけでなく、配信リリースの本数増も図り、自社サイトのメディア化を推進していく。