電源製品を主力とする台湾デルタグループの日本法人デルタ電子(東京都港区)の子会社であるアドトロンテクノロジーが、搭載したセンサーから得られるデータを分析して、野菜などの育成をサポートする日本で初めてのIoT(インターネット・オブ・シングス)水耕栽培機「foop(フープ)」のデジタルマーケティングに力を注いでいる。

foopのInstagram公式アカウントからの投稿
foopのInstagram公式アカウントからの投稿

 foopは、栽培機に設置した水位センサーや温度・湿度センサーを駆使して、水耕栽培中の野菜の育成状況を検知。併せて、ユーザーが専用スマートフォンアプリで撮影した栽培中の野菜の写真から、栽培品種と育成にかけている日数情報も取得。これらのデータを自動的に分析し、ユーザーに対して食べ頃の時期や育成についてのアドバイスを、専用アプリやメールなどで伝え、簡単に育成できるようサポートする。

 例えば、食べ頃までの日数や室温、水位をアプリに表示したり、水位センサーで水が足りないと判定したら「水を少し足しましょう」、温度・湿度センサーで室温が高いと判定したら「室温が少し高めです」などとアドバイスを表示したりする。このアドバイスにより簡単に栽培できるというわけだ。

 昨年4月に、自社Webサイトで予約販売を試験的にスタート。「予想していたよりも好評だった」(デルタ電子IoT事業開発部のシェ・ユンホウGeneral Manager)ため、製造可能台数を引き上げ、昨年12月から自社サイトだけで注文を受け付ける受注生産で販売を開始した。

水耕のあるおしゃれな生活を意識して投稿

 その際に、FacebookやInstagramなどでの情報発信に力を入れた。知名度が低いため、商品購入を検討する潜在的ユーザーから信頼を得ることが重要。そこで、ネットで取り上げられそうなネタを提供し、実際に購入したユーザーや興味を持つユーザーからも投稿してもらい、ネット上で話題になることを狙った。

 特にInstagramでは、「おしゃれな生活を意識した言葉を付けたハッシュタグを用意することで、既存ユーザーはもちろん、水耕のある暮らしに興味を持つ潜在的なユーザーからも投稿を促す」(ソーシャルメディアの運営を担当するIoT事業開発部システム開発チームの田中美瑛Project Coordinator)という作戦を展開。これが奏功し、多くの投稿を得られたという。

 また専用アプリに、ユーザーが育成している野菜の写真を、FacebookやInstagramなどに簡単に投稿できる機能を付けた。これが、「自分で野菜を育てるというエコなライフスタイルを実践し、その写真をソーシャルメディアにも投稿したいという既存ユーザーのニーズに合致し、ネット上での情報拡散につながった」(田中氏)という。

 ソーシャルメディアや、既存ユーザーを対象とするサポート窓口などから集めた声に基づき、新たな商品を追加したことも、話題づくりに貢献した。今年3月には廉価版の「foop Light」、7月には、カプセル型種子キット「foop capsule」(3種類)を相次いで発売。インテリア性を高めた高級版「foop Premium」も開発中だ。こうした動きを逐一、ソーシャルメディアの公式アカウント上に投稿することで、既存のユーザーや潜在ユーザーに、「foopは自分たちの声を聴いてくれる身近な存在」と意識してもらおうと考えた。

 8月22日にはfoopの特設サイトを開設し、新しいライフスタイルの提案を目指すWebマガジン「foop life」を創刊。コンテンツマーケティングも始めた。「foopのあるくらし。」と銘打ち、foopをインテリアの一部として活用する事例や、水耕栽培をする際の注意点、それにfoopで実際に栽培した野菜やハーブ類を使う料理レシピなどを、見た目に美しいレイアウトで掲載する。こうしたコンテンツマーケティングにより、「水耕栽培に憧れる潜在的なユーザー層に、Webマガジンの中身を見てこんな暮らしをしてみたいと感じてもらい、foopの購入につなげる」(シェ氏)ことを狙う。

 販売台数は今年8月末時点で500台で、今も受注残が残る。今後はソーシャルメディアの活用とコンテンツマーケティングの展開で、「年内に累計販売台数1000台」(田中氏)という目標の達成を目指す。