福岡銀行を運営するふくおかフィナンシャルグループは、10月からスマートフォン向けアプリ「Wallet+」を軸とした、新たなマーケティングプラットフォームの構築に本腰を入れる。アプリと連携して利用履歴などを管理でき、IC乗車券「nimoca」と一体型にできるデビットカード「Debit+」を、新たに発行する。それに伴い、カードの利用データにひも付けて、企業が特別なクーポンやポイントの倍付けをアプリ利用者向けに提供できるマーケティングサービス「CLO(カード・リンクト・オファー)」を始める。

10月からスマートフォン向けアプリを活用したマーケティングプラットフォームを始める
10月からスマートフォン向けアプリを活用したマーケティングプラットフォームを始める

 福岡銀行は地場に根付いた銀行のため、九州では高いシェアを誇る。だが、手をこまぬいていては、金融とIT(情報技術)を結びつけて新たな価値を生み出す「FinTech」の実現にまい進するベンチャー企業や、銀行業務に参入したイオンや楽天といった新興勢力に、シェアを奪われる可能性もある。「率先して顧客に新しい価値を提供して、選ばれる銀行になっていかなければならない」(ふくおかフィナンシャルグループ営業企画部新事業推進グループの奈須洋介氏)。こうした背景から開発したのがWallet+だ。Wallet+のコンセプトは、銀行口座をより便利に「使う」、口座やカードの利用履歴が気軽に「見える」から、アプリをきっかけに「始める」や実現したい欲求を「叶える」までの体験を、一貫して提供できるプラットフォームだ。

貯金をする利用者にクーポン配信

 まず、「使う」「見える」機能ではアプリ上で口座の残高照会や入出金の管理ができる。口座残高に“余剰”が出た場合には、貯蓄機能を使って簡単に別口座を作り、預金もできる。

 Wallet+は口座の管理機能だけではなく、情報コンテンツの閲覧機能を持つ。西日本新聞との連携やクラウドソーシングの活用などによって、お金に関するコラムや、お薦めの飲食店や温泉といったライフスタイルにまつわる情報などを配信する。このコラムを読むことで、旅行に行きたいといった欲求を生み、貯蓄を「始める」ことにつなげる。

 そして、実際に「叶える」に当たる機能が、目的を設定して預金ができる「目的預金」だ。例えば、「沖縄旅行」「新しい洋服の購入」などの目的を設定して別口座を作り、メーンの口座からお金を移して預金できる。

 さらに、目的預金をしている利用者と企業を結びつける広告サービスも提供する。例えば、「洋服を買いたい」といった目的で預金をしているアプリ利用者が目標金額に達した時に、広告主企業であるアパレルメーカーのクーポンを配信する。こうして、洋服を欲しい利用者と企業を結びつけ、来店促進と消費につなげる。

 CLOも消費を促す一環として始める。アプリ利用者はWallet+上から、CLO利用企業が提供するポイント2倍などのキャンペーンへの参加を登録して、該当の店舗でデビットカードを使うと、カード利用でたまるポイントの付与率が2倍になるといった具合だ。企業はCLOを活用することで、O2O(オンラインtoオフライン)での集客につながる可能性がある。