8月上旬、東京・表参道の「キディランド原宿店」向かいの建物脇に、長い行列ができていた。店舗名は「Zespri Kiwi Hunt(ゼスプリ キウイ ハント)」。ニュージーランド産キウイフルーツを輸入・販売するゼスプリ インターナショナル ジャパン(東京都港区)が7月22日から8月13日までオープンした期間限定店だ。行列に並ぶ若い女性は食い入るようにスマートフォン画面を見つめ、何かを探しているようだった。

パフェ販売数は23日間で2万1600個
パフェ販売数は23日間で2万1600個

 日本人1人当たりの果物消費量が年々減少している中、例外的に伸びているのがキウイだ。2014年からの2年間で消費量が20%以上増加し、2016年の消費量は2007年比で1.6倍増と大きな伸びをみせている。それでも同社は20~30代の果物消費量の低さに危機感を持つ。

 同社の猪股可奈子マーケティング部長は、「食品スーパーなどで昨年は900万食以上のサンプリングを展開した。ただ、最も訴求したい若者層、シングル層があまり来店しない。食べたことがなく酸っぱいというイメージを抱いて敬遠している人も多い。そこで、キウイをふんだんに使った、見た目も華やかな特製パフェを提供して、広く拡散させたいと考えた」と企画の狙いを語る。

特設サイト設置で全国を対象に

 限定店舗企画は、話題性が出店エリアに矮小化しがちなため、特設サイトを設置し、全国で楽しめるようにした。特設サイトは、昨年から起用して人気を集めるキウイをかたどったキャラクター「キウイ・ブラザーズ」が、どこかに落としてしまったゼスプリシールを探しているという設定。ユーザーが木の陰などに隠れているシールを5個タップして集め、オリジナルゼスプリシール壁紙を作ってハッシュタグ(#ゼスプリキウイハント)付きでTwitterまたはInstagramに投稿すると、抽選で300人にブラザーズのぬいぐるみが当たるプレゼント企画を展開した。

「Zespri Kiwi Hunt」特設サイト
「Zespri Kiwi Hunt」特設サイト

 また限定店舗では、上記応募条件を満たした1日先着30人に、ぬいぐるみ付きパフェを提供していた。一足早くぬいぐるみを入手した来店客が、特製パフェとともにブラザーズの写真をSNSに投稿し、それを見た友人が「私も欲しい」と特設サイトを訪れる好循環を作り出した。結果、ゼスプリシール壁紙の作成は7万件弱、特製パフェ販売数は2万1600個と、「事前見込みを大きく上回る」(猪股氏)盛況ぶりだった。期間中、プレゼントとは直接関係のない「#ゼスプリ」ハッシュタグ付き投稿数も前年比6倍を超え、「日本人が発音しづらかった『ゼスプリ』のブランドを浸透させることができた」(猪股氏)。

 ブラザーズキャラクターの人気あってこその施策ではあるが、キウイの写真を撮りたくなるメニューに仕立てたことが、若い女性を動かした。9月は新宿高野でコラボメニューを展開している。キウイの一人勝ちが続きそうだ。