クレディセゾンが新たにメディア事業に取り組んでいる。5月に開設した「Sodan(ソダン)」は、女性をターゲットにした金融情報サイト。専門家(ファイナンシャルプランナー)が執筆したお金に関するコラムの掲載や、その専門家に質問できるサービスを提供している。初年度で30万UU(ユニークユーザー)、100万PV(ページビュー)を目指す。
一見、女性顧客を獲得するためのクレディセゾンのコンテンツマーケティングのように見える同サイトだが、「あくまでメディア事業として、収益につなげることを目指す」とネット事業部インキュベーション部戦略企画課の吉田慎一課長は意気込む。Sodanには吉田氏を含む2人が専任で就くなど、クレディセゾンとしてもメディア事業に本腰を入れて取り組む姿勢だ。
このような新規事業に取り組む理由を吉田氏はこう説明する。「所属しているネット事業部はこれまで、クレジットカード所有者を対象とした、会員向け事業を展開したきた。一定の成果につながったことで、次のフェーズとして、カードを保有していない消費者を対象とした事業へと乗り出した」。
女性をターゲットとしたのは、「晩婚化や可処分所得の減少など市況の変化によって、女性の間で将来設計をしっかりと立てたいニーズが増えている。ところが、気軽に相談できるサービスが用意されていなかった」(吉田氏)。ここに商機を見出して、Sodanを開設した。
コンテンツの大半をFPが制作
Sodanには、大きく3つのコンテンツがある。まず、ファイナンシャルプランナーに直接、お金やライフプランニングに関する相談ができるサービス。基本的に相談した内容は回答後にSodanに掲載される。Q&Aをそのままコンテンツにする一方で、相談は無料で受け付けている。
ただし、相談の件数が増えなければコンテンツも増えない。そこで、ファイナンシャルプランナーによるコラムも用意している。30~40代の独身女性という大括りのターゲット層を軸に、ライフスタイルや、4月1日から始まった「ふるさと納税」といった時事ネタなどから、ターゲット層が求める情報を選んでコラムにする。執筆するのは、すべてファイナンシャルプランナーだ。「媒体を垂直的に立ち上げる上で、クラウドソーシングなどを活用して一気に記事を集める方法もある。だが、サイトの価値をきちんと作っていくにはコンテンツの質を担保すべき」(吉田氏)という考えから、専門家のコラムしか掲載しない方針を打ち立てている。
こうして新規事業として離陸したものの、集客については既存のクレディセゾンの媒体に頼っているのが現状だ。クレディセゾンは合計で約2500万人のカード会員を抱える。そのうち、ネット会員は約1200万人に上る。まずは、自社の会員からサイト訪問者を募りながら、新規訪問者の獲得策にも取り組み始めた。
クレディセゾンは8月5日から、化粧品の口コミサイト「@cosme」を運営するアイスタイルのキュレーションメディア「biche(ビーチェ)」に記事提供を始めた。biche上に配信した記事の下部に、Sodanへのリンクを張って、集客につなげるのが狙いだ。また、サイト内の回遊率を高めるために、記事レコメンド型のネイティブ広告ネットワークを提供するアウトブレインの記事レコメンドの仕組みを導入することも検討している。
初年度は収益よりも、まず利用者拡大を狙う。その後、広告商品などを作り、収益化を目指す考えだ。