「人気スタイリストに訊く 今のトレンド“抜け感”ファッションの極意とは?」──。
ワコールホールディングス傘下で女性用下着通販大手のピーチ・ジョンは、今年のファッショントレンドのキーワードになっている「エフォートレス」(頑張りすぎない)に合わせた新商品を、この8月から順次投入している。いわゆる寄せて上げる型ではなく、自然な付け心地を訴求する商品で、その意義や魅力を伝えるため、冒頭のような記事コンテンツを発信している。
掲載しているのは、昨年暮れに開設した自社コミュニティサイト「My PEACH JOHN」(以下、MyPJ)。メールアドレスのほか、FacebookとTwitterのアカウントを使ったソーシャルログインに対応している。

新着情報・商品をタイムライン型で紹介するほか、カタログ未掲載のモデルの写真・動画を載せる「ギャラリー」、意見・要望の投稿に同社が回答する公開型Q&A「マイボイス」、インタビュー記事やアンケート調査結果など読み物記事が中心の「マガジン」などで構成している。
また「Instagram」メニューを選ぶと、ピーチ・ジョンのハッシュタグ付きで投稿されたInstagram画像を一覧できる。コミュニティ活性化のため、コメント投稿やLIKE!ボタンでハートスタンプが貯まり、獲得数に応じて会員限定の参加型イベントや商品モニターの申込みができるシカケを施した。
既にFacebookページで6万人のファン、公式Twitterで6万3000人のフォロワーを持つ同社が、このタイミングでコミュニティを立ち上げる理由は何か。同社営業本部通販部部長の安住祐一氏は次のように説明する。
「Facebookページへの投稿のリーチ率が下がるなど、ソーシャルメディアが広告モデルにシフトし、またメディアの流行りすたりも激しい。そうしたソーシャルメディア側の事情に左右されず、コンテンツの蓄積と顧客とのつながりを長く継続していくには、オウンドメディアとしてコミュニティを立ち上げるのが望ましいと考えた。同時に、有力なソーシャルメディアはログインや投稿ツール、広告メディアとして活用していく」
コミュニティサイトの評価は参加者数と接触回数に着目
コミュニティの継続的な活性化によって目指すのは、EC(電子商取引)の売り上げ増である。購入後は一定期間使用し続ける女性用インナーという商品の性格上、ユーザーはピーチ・ジョンのECサイトをそう頻繁に訪れるものではない。そこで、購入目的がなくても訪れれば楽しめるというコミュニティサイトMyPJを用意し、参加者数と接触回数に着目した。MyPJを開設したことにより、例えば「会員の方が非会員よりも購入額や購入頻度が高い」「訪問回数が多い会員ほどNPS(ネットプロモータースコア)も高く、知人への推奨意向が高い」といった結果が出ることを期待している。
ソーシャルメディアについては使い分けを明確にし始めた。Facebookについては広告を活用してサイト来訪者の増加やMyPJ会員の獲得といった成果を上げる一方、Twitterについては、これまで続けてきた地道なアクティブサポート型の運用を今後も継続する。
自社名および商品ブランド名などで検索して、困っていたり不満の声を上げていたりするユーザーに話しかけ、解決方法を提示したり、ときには謝ったりして、オンライン上で早急な対応をする。カスタマーサービス用アカウント(@pjconcierge)のやりとりはMyPJ上でも閲覧できるようにして、コミュニティに参加しているユーザーに、地道なサポートが伝わるようにもした。
各種ツール、メディアのそれぞれの利点や向き不向きを踏まえ、コミュニティの活性化からEC売り上げ増へとつなげたい考えだ。