フジサンケイグループのディノス・セシールは運営するEC(電子商取引)サイト「セシールオンラインショップ」に、「ポップリンク」という新サービスを導入した。消費者がサイト内の検索ウインドウにキーワードを入力すると、検索ウインドウの脇に関連する商品情報を画像付きで複数表示するもの。2月からテストを始め、7月から本格運用を開始した。

複数のキーワード候補と画像付きの商品情報を示すポップリンクの機能
複数のキーワード候補と画像付きの商品情報を示すポップリンクの機能

 このところECサイトの競争は激化する一方だ。各サイトは、品ぞろえの充実やリアル店舗と連動したオムニチャネル戦略の展開、それに注文から受け取りまでの配送期間の短縮など、ユーザーの使い勝手を向上させる施策を次々に打ち出し、生き残りを図っている。

 そんな中、セシールオンラインショップは、「消費者が欲しがる商品を、欲しいと思うタイミングで見せて、購入につなげる」(セシール事業ディビジョン ネット販売推進部の藤田満部長)ための工夫を凝らしてきた。

 例えば、自社サイトにおける消費者の購買履歴や商品の閲覧履歴などに基づき、その消費者が好むと思われる商品を推薦するレコメンド機能は既にサイトに実装済み。一度、自社サイトを訪れながら購買に至らなかった消費者を狙ったリターゲティング広告も実施している。

 今回のポップリンクも、そうしたサイト強化の一環だが、消費者が検索ウインドウにキーワードを入力し始めると、1文字ごとに、多くの消費者の入力履歴データの分析に基づく複数のキーワード候補をリスト形式で自動表示する点がユニークだ。

 例えば「サンダル」と入力しようとして「サ」と1文字入れただけでも、サンダルやサングラスといった候補が即座に表示される。そしてキーワードにマウスオーバーするだけで、関連する複数の商品情報が画像付きで表示される。いずれかをクリックすると、その商品ページにダイレクトに誘導される。

 キーワードのリストは、検索された回数が多いものほど上位に表示しており、回数が同じ場合は、直近30日間に検索されたものをより上位にすることで、季節によるトレンドの変化などにも対応している。

 消費者は素早く目的の商品ページにたどり着けるし、商品名がうろ覚えだったり入力をミスしたりしてヒット件数が「0」になり、サイト離脱してしまうといった事態も防げる。実際、ポップリンク導入前に比べると、サイト内検索経由のコンバージョン率(CVR)は0.27%、アップしたという。

スマートフォンサイトへの対応が課題

 今後の課題は、スマートフォン向けサイトの強化だ。既にサイト訪問者の半数はスマホ経由だが、同社のスマホ向けサイトはポップリンクにまだ対応できていない。そこでポップリンクの開発元であるビジネスサーチテクノロジ(東京都渋谷区)と協力し、スマホ向けECサイトへの導入を急ぐ。

 将来は、導入済みのレコメンドツールを自社でカスタマイズしてポップリンクと統合し、キーワードに関連する商品情報だけでなく、レコメンドする商品の情報も同時に示すなどの方法で、サイトの利便性をさらに向上させていく考えだ。

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