クレジットカード事業のジャックスは、8月3日にプライベートDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を構築して運用を開始した。自社で持つ会員情報やカードの利用データ、そして第三者の持つオーディエンスデータを掛け合わせて会員活性化に役立てる。DMPを導入したポイントサイト「JACCSモール」の売り上げを、2017年度末まで年率20%超で成長させることを目指す。

 JACCSモールはジャックスのカード会員向けのポイントサイト。会員登録してカード情報を登録し、モール経由で「Amazon.co.jp」や「ニッセンオンライン」といった提携EC(電子商取引)サイトで買い物をすると、誘導先ごとに設定された倍率でポイントを取得できる。ジャックスは誘導人数に応じて、提携先のサイトから収益を得る。

 同サイトが抱えていたマーケティング課題は、会員の活性化だ。ジャックスは600万人のカード会員を抱え、うち100万人がオンライン上で利用明細などを確認できる会員サイトに登録しているが、JACCSモールの利用者はわずか数万人。モールの会員を増やし、利用を活性化することが喫緊の課題だった。ところが、「未利用の会員を抽出して一斉にメールを配信しても、開封率は2割以下。反応率も極めて低かった」(カード企画部カードプロモーション課の松谷久実エリアスタッフマスター)。

CLOのサービスも開始

 別の手法を模索する中で目を付けたのが、カードの利用明細などを確認する会員サイトだ。「約100万人のうち半数以上が月に1~2回サイトを利用する。この時、会員ごとに合った情報を提供すれば活性化につながるのでは」。eビジネス開発室の宮腰勝春エキスパートマスターはそう考えた。そこで導入したのがデジタルガレージが提供するプライベートDMP「BIG MINING Private」だ。BIG MINING Privateはデジタルガレージがグループで保有するオーディエンスデータを活用できる唯一のDMP。カードの利用データなどを組み合わせることで、会員の趣味嗜好に合った情報の提供を狙って導入した。

 ただ、カードの明細情報では、どの商品を買ったかまでは分からない。そこで、デジタルガレージのオーディエンスデータを組み合わせ、他のサイトのアクセスログや検索ワードなどから過去にどんな商品に関心を持ったかを分析し、購入商品のカテゴリーを類推できるように開発。明細情報の98%は、買った商品をカテゴリーに当てはめてDMPに取り込めるようになったという。こうしたデータに基づいて、明細を確認できるサイト上に、各会員ごとに関心を持ちそうなJACCSモールの提携ショップを機械的に紹介し、利用促進を狙う。

 また、DMPの導入に合わせて、JACCSモール上で事前に登録すればリアル店舗でカード決済をした時にポイントが多くたまるCLO(カード・リンクト・オファー)も導入。今後は、リアル店舗の提携先も増やし、データの活用と合わせて会員活性化を目指す。