ガス器具メーカーのリンナイが4月23日に発売した、白い本体が特徴のテーブルコンロ「HOWARO(ホワロ)」の新型が好調だ。

 「既に前年比で4倍の台数が売れている」と管理本部eビジネス推進室の福本啓史室長は胸を張る。同製品は、消費者から多く要望が寄せられていたが実現できていなかった、つまみも含めてすべてを白で統一した初の製品ということもあり、注目度は高かった。しかし、ヒットの理由は製品の色や、出来の良さだけではない。

 同製品はリンナイが、自社EC(電子商取引)サイト限定で販売している。ECで販売する中で、顧客の声を集め続け、見えてきた顧客ニーズへの対応や、デジタルを活用したマーケティング施策が奏功したことが、ヒットの大きな要因となっている。

購入者の4割がアンケートに回答

 それまで黒やグレーが中心だったテーブルコンロ市場に、リンナイが初めて白いコンロHOWAROを投入したのは、2011年のこと。“常識外れ”の製品のため、一般流通ではなく、あえて自社ECだけで販売した。その際、購入した人から直接、要望や購入の動機などをアンケートで取得して顧客のニーズを探った。

自社ECサイトでのみ販売しているリンナイのテーブルコンロ「HOWARO」
自社ECサイトでのみ販売しているリンナイのテーブルコンロ「HOWARO」

 「購入者のうち約4割が回答してくれる。これまでに1200~1300件の意見が集まっている」と管理本部eビジネス推進室の加藤麻里主務は明かす。こうした声を製品開発や改善に役立てている。中でも、最も多い要望は、つまみも含めてすべてを白で統一してほしいという声だった。

 しかし開発部門には、「安全性の観点から、グリルとコンロのつまみの色は変えるべき」との意見があり、限定生産の上位モデルでのみ、白で統一した製品を開発していた。今回、同社が量産モデルのHOWAROでも、白で統一した製品を販売することにしたのは、業界的には、異例の決断だったと言える。

 自社ECを利用する消費者の期待に応えることを旗印に、製品を完成させることができたが、今度は生産スケジュールの問題から、発売日が4月23日にずれ込む“ピンチ”に見舞われる。「テーブルコンロ最大の需要期は、3月から4月頭の引っ越し時期。そこで他社製品を購入されると、買い替えは当面見込めない」(福本氏)。

 そこで4月1日に、ティザーサイトを開設して、事前にメールアドレスなどを登録すると、購入時に特典がもらえるキャンペーンを展開した。特典については、あえて詳細を伏せた。事前登録を促すことで、発売まで心をつなぎとめて、他社への買い替えを防ぐことを狙った。キャンペーン時期には認知を狙い、「SmartNews」や「Gunosy」などのスマートフォン向けニュースアプリやFacebookなどに広告を出稿して集客した。

 そして発売直前に、グリルで使えるトースタープレートが特典でつくことを知らせるメールを送信した。一人暮らしでグリルを使う予定がないような登録者からも、グリル部分がトースターとして使えるという提案は、好意的に受け止められた。

 また、発売後の5月8日には、購入につながっていない人に絞って、特典の延長を知らせるメールを送信した。その結果、メール登録者の3分の1が新型HOWAROを購入する成果を得ている。